今、未来に向けて地球環境を守ることが、私たちの大きなテーマです。
こちらのリンゴ、赤色がまだらでいたんでいるため、市場に出すことができません。
しかし、環境を守るためにも、生産されたものはすべて使い切ることが必要です。そんな理想を持って、資源の無駄をなくす新たな技術を開発した会社がありました。
このようなベンチャー企業は、資金不足や人材の確保が難しく、なかなか成長できないという現状があります。
そんな現状を打破しようと、企業や開発者を陰から支えている男が居ました。インスパイア社長、高槻亮輔さん。
彼が社長を務めるインスパイアは、新たな技術を持つさまざまな企業に投資などを行いながら、共同で事業開発を行っている会社です。
今回は、社会や環境に役立つ新たな技術をビジネスにしていく、その方法について迫ります。
新技術をビジネスにする力。
今日のゲストは、インスパイア社長、高槻亮輔さん。彼は、大手金融機関でおよそ6年間にわたり、10万社もの企業の財務を分析してきました。
しかし、投資だけではなく、多種多様な企業と共同で事業開発を行いたいという強い思いから、大手金融機関をやめて、インスパイアに入社。以降、新たな技術を生み出す企業と共同で事業を開発している経営のプロフェッショナルです。
菅原:この番組では、既にたくさんのベンチャービジネスをしている、技術においてはもしかして日本一じゃないか、オンリーワンじゃないかという企業をたくさんご紹介してきましたが、実は、経営という面では苦労している会社が多いんですね。
菅原:それは、もともと技術を革新する能力と、経営の、お金を扱う、銀行からお金を融資してもらうっていうのが、まったく別だからですね。そのことにおいてサポートしようという、それが高槻さんの居らっしゃるインスパイアという会社です。そういうふうな企業があってこそ、日本のすばらしい技術がこれから大きく花開くのではないかと、その期待を持って、きょうのお話をうかがいたいと思います。
菅原:高槻さん、きょうは本当にお忙しいところ、ありがとうございます。いろいろうかがいたいことばっかりなんですけど、ベンチャーの企業を応援するという会社だと思うんですが、今、なさっているインスパイアの会社って、何をやっていらっしゃるんですか。
高槻:よくメディアなどですと、投資の会社といわれたり、あるいはコンサルティング会社というふうにいわれるんですけれども、両方ともその手段でありまして、やっていることは、その事業を開発していくということが仕事なんですね。
高槻:なので、事業を開発するときに、ベンチャー企業と一緒にやる場合は、ベンチャーキャピタルファンドからの投資というようなこともやりますし、大企業が相手ですと、事業開発のコンサルティング。
高槻:一緒に入って考えて、場合によっては、ジョイントベンチャーもつくるというようなことをやっている会社であります。
菅原:小さな芽を持った革新的な技術、科学的とか、エコの技術とか、世の中に広げるためのすごい大きなお手伝いをされているわけですよね。
高槻:はい。冒頭申し上げた、ベンチャーと大企業、両方ともわれわれが関与しているわけなんですね。
高槻:意外と新しい事業って、すぐベンチャー企業っていう話が出てくるんですけど、もちろんベンチャー企業も、ここに書いてあるとおり、新しいビジネスモデルですとか、相当、革新的な発想を持った型破りな方とかやっておられるので、大事なんですけれども、一方で、大企業も社内に大分開発資源を持っていて、人もお金も設備もありますから、実はおもしろいことをよくやっておられるんですね。両方とも、ただ置いておいてもなかなかうまく立ち上がらないっていう話が多いので、間に我々みたいな会社が居て、両方つなぎ合わせてみたりとか、それぞれを刺激して大きくしていくということをやりますね。
菅原:ベンチャー企業と大企業ってありますけど、それぞれにお助けマンとして行かれたときに、助け方が違うわけですよね。
高槻:ベンチャー企業の場合は、特にお金がないっていう話がありますので、自分たちの資金、インスパイアのお金そのものを出すというのが1つですね。
菅原:それって、そんなに大きなお金じゃないんですか。
高槻:もちろんそうです。ファンドから出すことと比べると、そんなに大きくはないですけれども。
菅原:じゃあ、1,000万、2,000万円ぐらい?
高槻:ええ。非常にまだどうなるかも分からないような出来たてほやほやの状況ですと、外部のお金を使うのは我々としても躊躇するので、ただお金だけ出してもだめなので、必ず人をわれわれの会社から送り込んでやるというスタイルをとります。
菅原:こういうベンチャー企業っていうのは、技術を持った会社なので、技術系の人じゃないと中身が分からないんじゃないかと思うんですけど、本社から出ていってサポートする人は、その技術をちゃんと分かる人が行くんですか。
高槻:専門家はもちろん居ないですね、その技術に関して。ただその技術がどういうふうにビジネスにつながるかというところに関しては専門性を持っているんで、技術を突きつめるところ以外で足りないところを、われわれのほうでカバーすると。
菅原:やっぱりベンチャー企業は、研究開発費にお金をかけ過ぎたり、売るっていうことを忘れたり、安くするということを忘れたり、いろんな足りないところがありますよね。そういうところを主に、教育していくということになるんですか。
高槻:そのとおりです。特に、何かをつくろうという場合に対しての情熱は素晴らしいんですけど、1個できても、まだもうけれませんし、次は大量につくらなければいけない。大量につくるときに、まったく違う技術が必要になるんですよね。その技術は持ってないという話が多いので、そういう技術をどういうふうに導入するか、あるいは、持っている会社に対してどういう関係をつくるかというところを、我々のほうでデザインしていくと。さらに、大量につくれるようになっても、まだもうからなくて、大量に売らないとだめなので、そこがないわけですね。
高槻:そこも、じゃあ、どうやってやろうというのをつけていく。そういう意味では、普段、大企業とお付き合いもしているので、大量生産のところでお手伝いしていただくとか、大量に売るときに販路を使わせていただくとか、そういう意味でも、こことの関係性というのを活用していくと。
菅原:そうですね。ほとんどの人が、販路がない?
高槻:ないですね。
菅原:販路、営業マンで、素人の営業マンが行ったからといって、絶対、開かないですよね、扉が。
高槻:開かないですね。基本的には、一緒に事業をつくるということでいえば、できればここにあるジョイントベンチャーを、事業をやる会社を一緒につくるというのが一番いいんですけれども、なかなかそこまで行けないケースもありますので、そうすると、知恵代を払っていただくということで、コンサルティングをやります。
高槻:事業開発のコンサルティングというのは、非常にニーズはあるんですけれども、われわれはコンサルティングが目的の会社ではないので、やはり信頼関係をつくっていく中で、新しいビジネスに取り組むというところで、一緒にやっていく関係性をする流れで、1つ、ビジネスとしてもやらせていただいている。ベンチャー企業と一緒にやっていただくというところに備えていくというのが、本来の立ち位置です。