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第35回 高倉 弘二さん

(2012.08.05、2012.08.26放送)

地球環境を考えるうえで解決しなければならない発展途上国が掲げるゴミ問題。
投棄されたゴミが、悪臭や害虫の発生、伝染病の原因になるなど大きな社会問題なっている国が沢山あります。
その問題に果敢に立ち向かい世界21カ国でゴミを消し去った研究者がいます。

高倉式コンポストと呼ばれるバケツを使って生ごみを堆肥に変え緑あふれる街へ変貌させたのです。
今回は魔法のバケツを用いて世界に貢献し続けている高倉さんの活動について迫ります。

菅原:今、日本人でインドネシアにわざわざ出かけてゴミだらけの街からゴミが一つも落ちていない街へと変身させることに大成功した高倉式コンポストを開発し、それを現地に普及させた高倉さんにお越しいただきました。

高倉さんはどこにでもある材料を使って生ごみを堆肥に変えるバケツを開発した研究者です。
彼が考案したバケツが最初に活躍したのは、インドネシアの第二の都市・スラバヤでした。

家庭ごみが回収されず街中がゴミだらけになりました。
スラバヤからゴミを無くそうと高倉さんが立ち上がったのです。
しかし、高倉式コンポストは当初住民に受け入れてもらえませんでした。
そこで、高倉さんは実際にコンポストを作り、生ごみが堆肥に変わるのを一軒一軒見せて回ったのです。

スラバヤでは東南アジアの暑い気候も相まって、ほとんどの生ごみが一日で堆肥化したのです。
また高倉式コンポストはどこにでもある材料を使って作れるので、住民たちの間でみるみる広まっていきました。
その数は年々増え続け、今では1万7千世帯に広まっています。

出来た堆肥は市内の公園や街路樹に使われ、ゴミだらけの街から美しい街へ変わり、住民たちにも笑顔が戻ってきました。

将来的にはスラバヤだけでなく、インドネシア全土で使えると思っています。

今日は高倉式コンポストの仕組みや世界中で喜ばれているその活動についてうかがっていきたいと思います。

菅原:高倉式コンポストの活動にはたくさんの秘密と地球を良くするヒントが隠されていますね。高倉さんがコンポストを始めたきっかけはなんですか。

高倉:環境に強い関心がありました。技術者として研究開発をしたかったので、そこから見てみると、一般家庭から出てくる生ごみがなかなかリサイクルされていない現状がありました。生ごみをコンポスト化する事がこれから必要になると思い研究課題としました。

菅原:スラバヤ市とはどのようなきっかけでつながったのですか。

高倉:スラバヤ市と北九州市が環境技術協定を結んでいます。スラバヤ市から廃棄物問題について話があり、有機物についてはコンポストにするのが有効ではないかとなりました。
最初は、機械を用いて活動した方が効率的だと考えていました。人が多いので雇用の場としても活動できたらと思っていました。
生ごみを堆肥にして、その後植物に利用しないといけないので、土着菌(地域に存在する菌)をうまく活用した方が良いと聞いたので、日本から発酵菌を持っていく事は考えていませんでした。
土着菌は、テンペやタベと言われる昔からの発酵食品から取りました。これは健康にもなるような菌です。

菅原:衛生環境が悪くなることで、人間活動も悪化していきますよね。その点はどうでしたか。

高倉:きれいな街に住みたいという考えは持っていましたが、そのやり方が分からなかったと思います。そこで家庭できるコンポストを教えました。すると家族の病気に対する罹患がものすごく減った。と言われました。そのことがものすごくうれしかったです。

菅原:きれいになれば心も晴れやかになりますし、その状態を保とうとします。そして、リサイクルなどの環境教育にも役立つと思いますが、どうですか。

高倉:そのようなコミュニティーで育った子供たちは、エコ意識が高くあります。ポイ捨てなども行わないですね。

菅原:分別意識が高くなると、リサイクルも行いやすくなり、再生利用で次から関わるビジネスが発展していきますね。

コンポスト作りについて

①腐葉土に米ぬかを入れる
②水に砂糖を入れる
③味噌を入れる
④麹菌を入れる
⑤米こうじを入れる
⑥イースト菌を入れる
⑦乳酸菌飲料を入れる
⑧ヨーグルトを入れる
⑨納豆を入れる
⑩キノコを入れる
⑪入れたものをよく混ぜ込む
⑫混ぜ込んだものを米ぬかと腐葉土に入れる

混ぜ込んだ腐葉土をカーベットで内貼りした買い物かごに入れる。
新聞紙で蓋をして菌を繁殖させるために1週間置いておく。
新聞紙は余計な水分を吸い取るなど水分調整をしてくれます。
このままでは虫がつきやすいので、買い物かご全体を布団カバーに入れる。
雨の当たらない場所で補完し、1日1回かき混ぜて空気を入れてあげる。

生ごみの入れ方

生ごみは水切りを良くして、小さく切る。
ご飯は、塊ではなくパラパラにすることで分解のスピードが異なる。
生ごみを入れたらよくかき混ぜる。
そして、布団カバーの蓋を再度閉める。

菅原:今後の活動としては北九州市だけではなく、広めていく必要がありますね。

高倉:東北の震災復興支援という事でコンポスト技術を活動しています。
大船渡、大槌、釜石で地元のNPO法人と活動しています。

高倉:驚き、感動、笑顔をご提供できる事を続けていきたいと思っています。

今、私たちが学ぶべきことは

菅原:高倉式コンポストの作り方の流れを見まして、日本人の持っている素晴らしさが出ていると思いました。現地の人が持っている材料でコンポストを作ることができて、誰もが使う事が出来て、多くの人が笑顔になることができます。ぜひ試してみたいです。