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第40回 秋山 幸仁さん

(2013.01.13,2013.01.27放送)

他のスピーカーにない透明感。
生の音に近い感覚。
世界最高峰のスピーカーと言われている代物です。

世界初の快挙。
音を聴くための道具ではなくて、音楽を楽しめるスピーカー。
世界が認めたスピーカーの仕組みとは。

菅原:ふとしたことから知り合いになった秋山さんの所へ行って、実際にスピーカーの音を聴く機会がありました。
その素晴らしい音に、深い感動と癒し、気持ちよさを体感しました。
今回、スピーカーの話を秋山さんとすることが楽しみであり、皆様にも聞いていただきたいと思います。

世界のオーディオファンがあこがれる至極のスピーカーfeastrexを開発した人物です。

子供の頃より音楽が好きだった秋山さんは、50代に入った頃にかつでジャズ喫茶で聞いたほれぼれするような音を自ら作り出したいとスピーカーの制作を思い立ちました。
それまでの事業を全て売却し、開発に没頭しました。

世界一の評価を得たスピーカーの魅力やそれを支える日本の素晴らしい技術を伺います。

秋山:音の歪みが世界一小さいのが自慢のスピーカーです。

菅原:審査をするときに、音の歪みを検査する客観的な測定方法はあるのですか。

秋山:あります。何度も測り直しているので、どうしたのですかと聞いたら、稼働時における磁気歪み率が0.25%しかない。今まで計測したスピーカーで最も小さい値が1%だったので、1%未満のものは見たことがない。と言っていました。

菅原:生の音に限りなく近いという事ですね。その理由の一つはスピーカーの形ですか。

秋山:そうです。私が開発した磁気回路を開発しました。

菅原:秋山さんの開発したスピーカーのすごい所は、コイルの発生する磁気を歪ませないために磁気を丸くしたという所ですね。
磁気コイルの歪みを取るのは、磁気の歪み=音の歪みであり、磁気の形に合わせた形状にするという事を思いつくのは天才的な発想だと思います。
それは、いつどのように思いついたのですか。

秋山:スピーカー制作をはじめて一年くらい経った時に思いつきました。
それまでは、理想とする音がなかなか出なくて、試作を重ねているうちにふと小学生の時に教わった地球の磁力の流れを思いつき、その形を再現したらいいのではとなりました。
もう一つ良い音を保証する仕組みとして、和紙を使用しています。
一般的には、樹脂などが出回っています。
このスピーカーには人間国宝の岩野市兵衛さんが私どもの為にすいてくれた和紙です。
この和紙は破るのは大変なものです。この薄い和紙を破ると数多くの細くて強靭な繊維が高い密度で入っているのが分かります。

秋山:手すきでこの繊維が均一に分散していきますので、紙の強度も均一であり音楽信号を伝える時に歪みの要因になるものが最も少なく、非常に余韻が美しく聞こえる事が一番評価されています。

菅原:世界で評価され、世界何十各国で販売されているというのは、夢を現実化したという事で、素晴らしいですよね。

秋山:今現在、ディストリビューターが世界16カ国におりまして、世界25カ国にユーザーが存在します。
現在、販売しているもので、70万円ぐらいから商品はあります。
仕事場も含めてですが、美しい音楽の中で生活をする。脳をリラックスさせてあげる事は、いろんなイノベーションの源泉にもなると思います。

菅原:誰も思いつかなかったことを思いつくというのは、とてつもない事だと思います。これは、何歳くらいから開発を進めようと思ったのですか。

秋山:家業は運送屋、生コン、建築などをやっていました。資金的には余裕があったので、世界的に有名なスピーカーの音を聴いてみました。どのスピーカーを使っても納得できませんでした。50歳を過ぎてから自分で作ってみたいと思い始めました。そして、父が起業した3社を売却してスピーカー開発に力を注ぎました。

菅原:スピーカー開発の費用はいくらぐらいかかりましたか。

秋山:通算だと約2億円ほど開発費がかかりました。

菅原:次は息子さんとの協力関係で世界へ広がるという道が広がったんですね。

秋山:息子は、会社のWebサイトを作ったり、世界のディストリビューターとのやりとりを行っています。

菅原:自分の望みを形にして、それが趣味に終わらずに世界に販売している。このようの夢のような話ですが、これは50歳より開発をはじめたという事に驚きます。しかし、私たちが夢を考えるときに決意し形にし趣味ではなく成功のプロセスを見せていただきました。次は、息子さんが世界に向けて発信していくという流れもすごいと思いました。