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第42回 篠宮 健さん

(2013.03.10,2013.03.24放送)

日本の国土の約7割を占める森林。
その豊富な資源を利用して栄えてきた林業も後継者不足や木材価格の下落により苦しんでいます。
木材の有効活用や林業の復活を目指して、ある取り組みが和歌山県で行われていました。

木材や余った間伐材を粉末に変えたパウダーでエネルギーを生み出しています。
生み出されたバイオマスエネルギーは、温泉施設で有効活用されていました。

固形燃料よりも効率が高く環境にも優しい木質パウダーを燃料として使う事に成功しました。
木質パウダーを燃料に使うシステムで循環型のエコ社会や山林地域活性化の実現を目指して活動しています。

この方は、バイオマスを11年かけて自らの力で開発し、実験機を作り実験をしています。
そして、現在は和歌山で行政と一体になりながら活用しています。
どのような話が伺えるのか楽しみです。

循環型社会の実現を目指して活動しています。
大手生命保険会社で働いていた篠宮さんは、バイオマス研究をしていた秦博士と出会い、退職を決意します。

無駄になっている間伐材の有効活用を目指し数々の実験を重ねた結果、2005年木質パウダーの燃料化に成功しました。
従来の固形燃料よりも使いやすく高効率エネルギーである木質パウダーに注目が集まっています。

菅原:今日は篠宮さんにバイオマスの話をいろいろとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

篠宮:木材を細かく粉末にしたものです。林業の活性化を目的としているので、山の材が中心となっています。そのため、現在は建築廃材などは利用していません。

菅原:高い温度を生み出せるという事は、電力を生み出すこともできるという事ですよね。また、石油と同じように使用することもできるという事ですね。

篠宮:燃やした後に出る灰もパウダー状になっています。和歌山では農業などで使用されています。
木質パウダーを油1ℓに例えると同じ熱量を得るためには、だいたい2kgが必要になります。1kgあたりの値段は油の半分程度なので、同じ熱量を得るための値段としては同じくらいになります。

木質パウダーを燃料としてお湯が造られています。
地産地消の実験として使用しています。

地域の林業を支えると同時に地域経済を促進し、地球温暖化防止にも役立つ木質パウダーは日本を支える新たな未来となる可能性があります。

菅原:排出権取引につきましてはどうなっているのでしょうか。

篠宮:減らした分の二酸化炭素は取引業者を通じて外部に売られています。
今までの木質燃料は、海外で作られた技術を取り入れていたのですが、これは日本発として海外にアピールしていくような技術となる事を期待しています。

菅原:11年前からはじめられたということでしたが、かなり早い段階から始められていますよね。

篠宮:前の会社を退職後、木質パウダーの研究をされている秦博士と出会いました。秦博士は木質パウダーで終わることなく、より高度な研究をされていました。
実用化への実験は、長い時間をかけました。研究開発費として数千万を費やしてきました。
家族の協力もあったもののいつまでかかるのかと言う話も出ました。

菅原:今年、来年の目標はありますか。

篠宮:今は、温泉施設での利用のみでしたが、他の施設・設備にも利用していきたいと考えています。
昨年の12月からは、農家のハウスで利用し温かい空気を送る利用方法の試験を行っています。
いろいろな方々の力を借りて成り立っているため、それを一つにまとめる役割になれたらと思っています。

篠宮さんがはじめられた物事の素晴らしい所は、大手の企業が参入しにくい構造を作られている事であります。
四苦八苦しながらここまで来たことが、ようやく花を咲かせようとしています。
これから大きな花が日本中に咲き、さらには海外へと発信していくのではないでしょうか。
物の循環からお金の循環まで、地産地消で循環してく素晴らしい仕組みだと思いました。