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第44回 伊藤 喜平さん

(2013.05.25放送)

高齢化社会が進み、社会保障のコストが増え続けている日本。
未来を担う若者をいかにして増やすか。これが今後の日本を左右する重要なテーマになっています。
この問題に真正面から取り組み、国の平均値を大きく上回る出生率を達成した村がありました。
それを成し遂げたのは、長野県下條村村長の伊藤喜平さんです。

伊藤さんは、税金の無駄遣いを正そうと村長になり、奇跡の行政改革を行って下條村を蘇らせました。
これまで、400以上の視察団が訪れた下條村の奇跡と伊藤さんの活動に迫ります。

菅原:ある本を読んだら偶然にも伊藤村長の事が書かれていました。その本の中で全国の出生率を上回る出生率を出している村は、どのような村なのかと関心を持ちました。そこで今回は伊藤村長をお迎えしてたっぷりっとお話を聞きたいと思います。

会社経営を行っていた40代の頃、税金がうまく活用されていない行政の活動を見て、村議会議員に出馬しました。
その後、議員として行政改革を目指した活動を行いました。
しかし、その奮闘もむなしく若者の村離れは続き、議員としての立場の限界を感じて村長へ立候補します。

菅原:改革の目玉はどのようにしたらそのようになったのでしょうか。

伊藤:議員時代にみた役所は効率の悪さ、危機感のなさ、新しいものへのチャレンジがありませんでした。仲良しクラブです。

菅原:村長になられて最初にやった改革とはなんでしたか。

伊藤:納税者の方々がどのくらい苦労してどのくらい必死で仕事をしているのかということを徹底して理解してもらいました。一般の物品販売業に強制的に職員は出てもらいました。

菅原:職員はどれくらいいたのですか。

伊藤:60名くらいです。現在では38名となっています。人員削減を行いました。今までの倍働いてくれと言いました。今までは働いていたつもりであり、一般の仕事を経験して倍働くことができるとわかったと思います。しっかりとして、残業手当も自由には払いませんでした。

菅原:長期ビジョンとして行政がやるべきことは、一般の方に対してどのようなスローガンを掲げたのでしょうか。

伊藤:職員も一生懸命働いているので、みなさんも自分でできる事は行って下さい。例えば、生活道路、農道、林道は村民の皆さんの実力でできることです。自ら整備を行ってもらいました。



菅原:村の雰囲気が和気藹々としていていいですね。村人同士で作業を行う事で、若い人からお年寄りまでコミュニケーションが取れるのは素晴らしいですね。

伊藤:一度、このような事を経験すると村づくりというのは次の日からよくなり、行動力が生れます。

菅原:またこれは、若者に焦点を当てた政策をしていますよね。

伊藤:若者が魅力ある村にしなければ、永続性がありません。

菅原:民主党などが言っていたことをどんどんと行っていたのですね。保育園の費用も通常の半分ぐらいに下げているそうですね。また、高校生まで学費がいらないそうですね。

伊藤:基準の半分ぐらいです。高校生まで学費と医療費は無料です。自治体の範囲で決める事が出来ます。下條村に家を建てる若者はだいたい35%ぐらいです。

菅原:今の出生率はどれくらいですか。

伊藤:これは平成23年度のものなので低いですが、平均すると2%を越えます。視察に来た方からは、どうして少ない職員でこの村人をまとめているのか。財政状況と健全度について質問が多くあります。

菅原:昔、ビジネスを行っていた経験から素晴らし発想がでてくるのでしょうか。祭日も働くというのは昔からのことですか。

伊藤:中小企業の社長と言うのはそういうものだと。動いていないと沈んで行ってしまうような気がする。

菅原:全国の村づくり街づくりのお手本ですね。

菅原:私たちは今、日本の将来を考える時に地方の衰退、後退が叫ばれています。政治家もいろいろな政策を出すのですが、実際は町や村が一体何ができるのだろうかという事を考え、伊藤村長が動き題しました。これは日本の未来に一つの答えを出したと思います。村で生活することは多方面で多くの人の希望を叶えつつ、それを他人任せではなく自分も頑張るという姿勢でした。素晴らしいサンプルが多くに広がっていったらうれしいですね。