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第45回 岩田 真太郎さん

(2013.06.22放送)

まるで人間の手のように滑らかに動くロボットハンド。
ハンドロイドと名付けられたロボットハンドが世界中から注目されています。
物を握ることはもちろん、二本の指で小さなものまでつまめてしまいます。
これまで、主に握る事しかできなかったロボットハンドの世界に新たな旋風を巻き起こし、五本指が自在に動くロボットハンドの開発に成功しました。

数々のヒット商品を生み出す岩田鉄工所の3代目として、日々部品製造の仕事をこなす傍ら、ハンドロイドの開発に乗り出しました。

難しい機能で値段が高いというこれまでの常識に対し、シンプルな構造でも使いやすく低価格を目指した岩田さんです。

「手のない人、失ってしまった人の代わりに義手として利用されることが一番望ましい」

人間の手のように動くハンドロイドの仕組みと技術で社会へ貢献したいという強い物づくりへの想いとは。

33歳の若者の岩田さんが今日のゲストです。
岩田鉄工所の3代目でいらっしゃいます。その鉄工所の中では金属加工の部品として宇宙工学から電子部品まで様々な開発をしています。
その中で1つの依頼が舞い込みました。それは、指が動く義手を作って欲しいというものです。その依頼に対して4年間取り組みながら、実現可能なものとして開発をしてくることができました。

世界でも類を見ない5本指ロボットハンドの開発に成功した技術者です。
数々のヒット商品を生み出す2代目を超えるため新たな研究テーマを模索していたある日、義手ロボットの制作依頼が届きます。
制作に試みたものの人間の繊細さを兼ね備えたロボットハンドの開発は困難を極めました。

しかし、数々の難題を解決し、ハンドロイドと名付けられたロボットの開発に成功しました。
無限の使い道が広がる最先端の技術と物作りへの想いをお聞きします。

菅原:このロボットの名前がハンドロイドですね。

岩田:そうです。ふとアンドロイドと言う名前を思い出して、作っているものがハンドだったので、組み合わせてみました。これ以上のものはないという事で、商標を取ることになりました。

菅原:商標を取るのに横やりが入ったという事も聞いたんですが。

岩田:世界7カ国で商標登録を行おうとしました。アメリカだけ申請が通っていませんでした。調べてみると、異議申し立てが入っていたのです。それがルーカスフィルムからでした。スターウォーズの劇中に登場するドロイドというロボットがいて、その商標をルーカスフィルムが持っています。ドロイドという言葉がそのまま入っているのが問題だったようです。ただ、こちらとしてもそれを意識しているわけではないので、なんとか商標を頂けたという事です。

菅原:片側牽引にすることで、今までの従来品だと両方から引っ張るのが普通であったのが、単純明快に半分にすることで非常に機能性に良くなるし、故障などが減るなど飛躍的に良くなるわけですね。

岩田:もともと低コストで提供するためにシンプルな設計にしてあります。
例えば、ワイヤー駆動でも間接にヒンジを設けて別々のパーツを組み合わせて動きを作るものが多い中で、関節部分だけ肉薄にして関節を曲げるというロボットハンドは世界初かも知れません。

岩田:工場とかで勤務していると何の部品を作っているのかわからない。びしっと決まったことを告げられるとうれしいですね。自分の作った部品が宇宙に飛んでいくのかとか、世の中の役に立つと知った瞬間、モチベーションも上がり、自分のやっている意味が感じられる瞬間です。ハンドロイドをもっと身近に感じられる製品にしたいです。

菅原:実際にこの手袋に手を入れると動きますか。

菅原:これは義手という方向性での開発になりますか。

岩田:もともとのきっかけが4年半ぐらい前になります。義手の研究をしている当時東京大学の横井研究室から開発の依頼を受けました。

菅原:脳からの信号で義手を動かすことができるようになりますよね。

岩田:そのような研究を横井さんがされています。他でも多く研究はされていますが、各指を動かすまではまだですね。

筋電義手は人間の生体信号を電気的に取り出して人間の筋肉の信号を使って、自分の体を動かすのと同じような感覚で義手を動かそうとするものです。
ここの情報処理システムはほぼ完成に近い状態なので、世に出てくるのはここ数カ月か数年かという話です。
ただ、手指をバラバラに動かそうとすると話は違うかもしれませんが、それでも2年かかるかな、1年ちょっとでできると思います。

菅原:このハンドロイドを世界のイベントに出されたことはあるのですか。

岩田:ロンドンのイベントに出しました。ロボットの展示会ではなく、ポップカルチャーの展示会でした。みなさん興味を持ってくれて、海外での反響は大きかったです。

菅原:問い合わせは多いですか。

岩田:問い合わせは多くて、世界中から連絡が来ます。

菅原:今後の展望はどのように描いていますか。

岩田:例えば、ヒューマノイドロボットの研究をしている人への提供です。その人にとっては手だけでも安く提供できれば他の部分の研究を進める事が出来ます。他にも災害用ロボットや宇宙環境で使ってもらえるなどです。人間が入り込めない極限の環境の中で人の代わりをするロボットとして役に立てばいいですね。

菅原:用途に関してはいろいろな人が考えてくれる可能性がありますよね。とても夢のある開発をしたと思います。

岩田:今の小学生、中学生の子供がこういったものができると感じてくれれば、その先はもっといいものができます。子供たちの手の届く範囲に届けたいですね。小学校にハンドロイドがあれば、分解することもできますし、ハンドロイドで遊ぶことができます。そういった中でさらにこうした方がいいのではないかという新しいアイディアが出てきますよね。
そして、本業の部品加工の方ではもっと技術を磨いて、お客さんに良いものを提供したいです。

岩田真太郎さんの作ったハンドロイドをご覧になっていかがでしたでしょうか。夢のある実用性のある早く実用化してほしいという思いを持ってご覧になられたのではないでしょうか。世界中で手を失ってしまった子供たちに対しても高くなく動かすことができる義手は大きなテーマです。また、筋肉を動かすことで義手を動かすことができる技術も実用化が近い将来となっています。その一角を担う若い岩田さんが造り上げた仕事は素晴らしいのではないかと思いました。