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第48回 木村 一義 さん

(2013.09.21放送)

多くの家屋が倒壊した阪神淡路大震災や東日本大震災。
これら未曾有の大震災を乗り越えた建物があります。

これらの建物はある構法を使って建てられた木造の建物でした。

耐久性や耐火性が弱いとされ敬遠されてきた木造建築の弱点を新たな技術で克服しました。
今再び、木の家づくりで世界を豊かにしようとしている男がいました。

KES構法で建てられた建物は温かい木のぬくもりが感じられ、まるで自然と共存しているような優しい気持ちにさせてくれるものばかりです。

最近、木造建築が見直されつつあります。今日紹介するKES構法は、阪神淡路大震災の時にもその強度とすぐれた耐火性により崩壊することなく残りました。その力は東日本大震災でも発揮されました。最近では2時間燃やしても燃えない事が証明されたので、ビルの建築にも活用できるそうです。

工務店の4代目に生まれた木村さんは、学生時代から非効率的な在来工法に疑問を抱いていました。
その疑問を解決するために世界を歩いていた時、柱が鉄骨・梁が木材の別荘に衝撃を受けます。
この建築は、これを機に木造建築は木と木をつなぎ合わせるという常識を破り、柱と梁を鉄の金具でつなげるというKES構法を生み出しました。

菅原:アメリカに留学されていますが、何のために留学が必要だと思われたのですか。

木村:アメリカへの憧れとどうしてあのような豊かな国になったのかを知りたかったからです。今のシステムはコンピュータなしではできません。留学はその基礎になりました。そして、刺激が多かったですね。KES構法も生まれなかったと思います。

木村:アメリカ留学をただ終えて帰るのは面白くないため、ヨーロッパを見て回りました。そこで、柱が鉄、梁が木という建物を見つけ、衝撃を受けました。しかし、柱が鉄では日本の建築に合わないという事で、思いついたのがKESの考えでした。

木村:この集成材は、無垢の木よりも1.4~1.5倍強いとデータに出ています。強度が一定化します。均質化しないと構造計算に乗らないんです。

菅原:日本にかつてなかった木質構法ですね。

木村:私は地震に強い建物を作ろうと思っていたわけではなく、資産価値を保ち続ける100年住宅を作りたいと思った。日本からエンドレスの住宅ローンを無くしたいと思った。それが生活の質を高めると信念で思いました。

菅原:木造ビルが建てられるというのはすごいですね。

木村:最近2時間耐火にも認定されました。世界ではじめてだと思います。
また、わざわざ街の中に森を作らなくても木造建築で街を作る事で、木材の中に炭素が固定化されているので、街に森を作っているのと同じことなんです。

菅原:木造住宅は、健康にもいいんです。夏は涼しく、冬は温かい家が出来上がりますね。

木村社長との話で一番すごいと思ったことは、骨のある日本人が世界に羽ばたくためにはどうしていくべきかという事です。世界で初めての試みばかりなので、日本人としての誇りを感じました。強度や設計を超える新しいエンジニアリングは革命だと思います。これが実現させられれば地方都市の革命が起きると思いました。