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第53回 朝倉 哲郎さん

(2014.02.23放送)

現代人を悩ませる心筋梗塞や糖尿病。
血管が詰まったりすることで起こるこれらの病気の治療には人工血管が必要とされてきました。
しかし、従来の人工血管は小口径と呼ばれる直径6ミリ未満の人工血管は作れませんでした。
そんな常識を打ち破り6ミリよりもずっと細い人工血管の開発に挑戦している男がいます。
医療とはまったく関係のない工学博士が夢の人工血管の実現に大きな一歩を踏み出しました。





人工血管というのは、再生医療として非常に注目されています。
長い間使っていると血管は避けやすくなります。突然死の原因にもなります。
それがもっと細い血管をシルクで作ると裂けない非常に強くて頑丈で血栓を作らないという事。
更には本物の血管に変わってしまうという事が本当にあるのだろうか。という事をお話しいただきます。



再生医療の世界に新たな光をもたらした絹の人工血管の仕組みや絹の驚くべき性能についてうかがいます。

菅原:今日はIPS細胞を超えるかもしれない再生医療の世界をお話しいただきます。
今までの人工血管と比べてどこがすぐれているのか教えていただけますか。

朝倉:これまでの人工血管は6ミリ未満のものになると閉塞してしまいます。これが絹の血管だと閉塞しません。そして、自分の血管に変わっていくという事があります。

朝倉:白い部分が絹になります。赤い部分は増えていきます。44週ではほとんど白い部分はありません。

菅原:最初から人工血管を作る事を目的としてきたのですか。

朝倉:絹そのものは外科用の縫合糸として使われていました。今まで我々の体の中に使われてきた長い歴史があります。これを基本的な素材として小口径の人工血管を作っていく事になります。
絹を長い間研究してきまして、絹をどのように加工したらどのようになるか大体わかるようになってきました。そこで人工血管を作る事になります。

菅原:蚕の研究で35年というのは他にいらっしゃいますか。

朝倉:いないでしょうね。大学に入ってこれだけ絹の研究をするとは思ってもいませんでした。
強い磁場の中にサンプルを入れてサンプルを知るという機械があります。これに生きたものを入れる事が行われてきました。

菅原:実験は分析して分析して純粋にして余分なものが入らないようにしますが、生き物は複雑系の塊ですからこのような事を行うという事は多くの人は頭になかったのではないでしょうか。


それはなぜかといいますと蚕が作る絹の繊維っていうのはすごく強い。
同じくらいの太さの鋼鉄線に匹敵するぐらいに強いのです。
そういうものを蚕が作ってしまうわけです。
では、人類が絹を作れるかというと人類は作る事が出来ません。
どのような状態で体の中にあるのだろうかということになりました。
非常に知りたいという気持ちだったわけです。

世界で初めて構造の解明に成功しました。

この研究データをいかす次なるテーマを模索しはじめました。

基本的に生体に対して非常に適合しているということですので、素晴らしい絹を何かに使えないかという事で再生医療素材として使いたいということになったわけです。
人工血管の場合には強さがすごく要求されるということがあったので、絹で作ってみようという事です。
それと縫合糸としてもともと絹は使われています。
これらが背景となって人工血管を作ってみようと始まりました。



菅原:絹の強さの秘訣はなんですか。

朝倉:それを解明するには15年かかりました。分子の間の水素結合が非常にうまく働いています。そして、そこで生じた歪みを逃す成分があることで出来上がっています。

菅原:生体内の水の研究は大変ですよね。

朝倉:水の研究は古くて長いんですが、いろいろな新しい方法を使って明らかにしていく必要があります。水は非常に重要になります。

菅原:水は全てのもキーワードとなりますよね。わかっているようでわからない分野ですね。

朝倉:絹を使って人工血管を作るのですが、濃度が濃く温度が少し高い塩化カルシウムを使うと溶けます。シルクのフィルムができます。それを火傷した箇所に使用したり目の角膜に使用しています。
骨や歯の欠損部分には絹のスポンジを使用します。すると段々と絹が溶けてきてその溶けた所に骨の成分や歯の成分が入ってきて早く骨や歯ができるわけです。
生体が持つ治癒力をうまく引き出す事を目的としています。絹は再生医療の材料として素晴らしいという事が分かってきました。アメリカはそこにお金をつぎ込んでいます。日本はサポートが少ないですね。絹の良さを知っているだけにもっと研究してほしいと思います。

菅原:論より証拠という時代に入ってうれしいですね。近々インパクトのあるイベントを行うという事を聞いたのですがどういうものですか。

朝倉:ここで話しきれなかった部分などをこのイベントに来て実感して頂きたいと思います。

菅原:絹を身近なものとして利用していってほしいですね。常識が変わり新しい世界が開きつつありますね。

1000年の歴史を持つ絹が再生医療という中で取り入れられているということがわかりました。
朝倉先生は蚕が大好きという所から生物学的に検証しつつ、絹の構造を研究した結果世界初の人工血管を作る事に成功しました。
何年か先には私たちが使っていく事が出来るものとなるでしょう。
35年間の研究の成果が素晴らし形で実を結んだのだと思いました。