トップ > 筧 直さん(2010年3月14日・3月28日放送)

第09回 筧 直さん4

(2010.6.13,6.27放送)

エコ君:ここで、エコのワン・ポイント・スタディー。東京都の水源のほとんどが河川水で、高度浄水処理を必要とするのは、水質があまり良くない利根川水系と、荒川水系。多摩川水系などは水質が良く、導入計画は無いエコ。東京都の78%は水質があまり良くなく、高度浄水処理が必要ということエコね。おいしい水道水を飲むために、東京都には欠かせないシステムエコね。

エコ君:そして、こちらが平成25年に向けて、高度浄水処理導入を目標にしている地域のマップなんだエコ。緑色の部分が、高度浄水処理を必要とする区域。現時点では、高度浄水処理水と、通常処理水とのブレンドの所もあるんだエコ。でも、3年以内には、高度浄水処理100%の水道水になる予定だエコ。水色の部分は、水質が良く、高度浄水処理水を必要としない区域。紫色の部分は、市や村が水道事業を行っている区域になっているんだエコ。

菅原:これってすごく素晴らしいシステムだと思うんですけど、これを入れた後、水道水をじゃっと流して飲む人は非常に増えたんですか。

筧:いや。徐々においしさっていうのは浸透してきてまして、残念ながら、まだ全てのお客さまが蛇口から直接水を飲んでいただくというところまでは至ってないと思うんですね。

菅原:これを見た人が、その辺をちゃんと理解してもらうことが、プライドを持って水を提供している側としては、分かってほしいっていう気持ちは非常にありますよね。

筧:そうですね、まさにそのとおりですね。

菅原:世界を歩いてくると、水道水の水を飲むなんてのは、非常識な時代になってて、どこのホテル行っても、この水は飲まないでくださいって書いてあるんですよね、ミネラルウオーターが、クーラーを開けると、そこに入ってたりして。この流れって、いつころからこうなっちゃったんでしょうね。

筧:世界では、もちろん水道水をそのまま飲める国もありますけれども、飲めない国の方が多いんじゃないでしょうかね。だから、それは最近そうなったというよりも、昔からそういうものだということで、飲むという習慣がもともと無いっていう国が多いんじゃないかと思いますけど。

菅原:一番ほんとに水問題で悩んでるのは、中国だと思うんですけど、水の水質汚染がすごく問題だし。飲めない国の水でも、この高度浄水処理システムを取り込むことができれば、同じく日本の水ぐらいになるんですか。

筧:そうですね。高度浄水処理システムだけじゃなくて、いろいろ水質管理だとか、浄水処理、われわれがやってるのと同じようなシステムを導入すれば、基本的においしく飲めるような水になると思います。

菅原:よその国も、こういうふうにしたいなというふうに思う国も増えるでしょうね。

筧:そうですね。

菅原:そういう見学ってあるんですか。

筧:はい。東京の浄水処理システム、水道システムっていうのは、技術的には世界の最高水準だと思います。そういうこともあって、世界各地から毎年何百人も、研修とか、視察で受け入れをしています。どこの蛇口からもミネラルウオーターと同じぐらいの水質の水道水が出るっていうのは、これは一つの文明の尺度だと思うんですよね。常にどこでも清潔で安全でおいしい水が豊富に出ると、そういうインフラを整備するっていうのが、われわれの責任だと思うんです。

菅原:学校なんかでも、ちゃんと広報活動をいっぱいやってるんですか。

筧:そうですね。いろんな広報もやってますけれども、子どもたちに、水道水を直接飲む文化っていうのを、いかに継承していくかってことなんですね。

菅原:水道の水は飲んじゃ駄目って親にいわれて、だから、ペットボトル持っていくわけにはいかないので、水筒持って学校に行く文化っていうのが、十年以上昔からありますよね。

筧:そうです、ありますね。せっかく蛇口からおいしい水が出てるのにということもありまして、何とかしなきゃいけないということで、今取り組みをやっているんですけど。その一つが、この学校フレッシュ水道といいまして、学校なんか4階とか、5階建て、基本的に、受水槽で1回水をためて、上に上げて、そこから給水する方式が多いんですね。

筧:そうすると、夏の暑いときですとか水が温まっちゃって、蛇口から水があんまりおいしくないということがありますので、ほんとは配水管から直接蛇口につないだ方が、冷たくておいしい水が出るということがあって、公立の小中学校の水飲栓を、直結化っていうんですけど、直接ここからつなげる工事を、モデル事業として進めているところです。

菅原:全校にそれを敷設する方向なんですか。

筧:目標では、最終的にそうなればいいなと思ってるんですけど、今モデル事業ということで、だいたい3校に1校ぐらいの割合で、こういう直結給水化をやってます。

菅原:もう一つ水の問題としては、マンションの貯水槽が汚れるというね。それで、汚れて、ちゃんとマンションのそれを洗ってるのかっていうと、そのマンション、マンションに委ねられてるから、化学性とか、そういうものに配慮しない所では、藻が繁茂してたり、鉄さびが出て、蛇口ひねったら赤茶けた水が先に出たりとかいうのは、今でもありますよね、使ってない所って。

筧:たまに、それは管理がほんとに悪い所は、そういう例もあります。先ほどの高度浄水処理のように、ほんとにお金を掛けておいしい水を作っても、お客さまの蛇口の手前で水質が悪化すると元も子もないと、非常に残念な事ですので、直結給水化を今推進してるところなんです。

菅原:あと配水管が古かったりすると、そこの所の汚れみたいな物が、心配になっちゃったりしますけど、それは大丈夫ですか。

筧:基本的に、計画を立てて、配水管は常に新しい物に取り換えるようにしてます。それは、一つにはおいしい水をお配りするっていう目的もあるんですけど、もう一つには新しい方が地震に強かったりしますので。最近ではあんまり赤さびが出るとかそういうことは、ほとんど無いと思います。