トップ > 金堀 一郎さん(2010年7月11日・7月25日放送)

第10回 金堀一郎さん2

(2010.7.11,7.25放送)

菅原:今日はよろしくお願いします。

金堀:こちらこそよろしくお願いします。

菅原:私が印象に残っているのは、ペンシルビルなんですけれども。

金堀:ありがとうございます。

菅原:VTRを撮ってきましたので、一緒に見てみましょうか。

金堀:はい。広島の町らしいですね。もう築10年以上になるんですけどね。

菅原:全然、古く見えないですね。

金堀:そうですね。

菅原:デザインも新しい感じですよね。

金堀:10年たって、20年たっても輝きを増す建築が、いい建築だと思っておるんですけど。

菅原:そうですよね。

金堀:この中は、何度か改装はしたんですけど。

これ、2階ですね。2階がカフェになっております。

菅原:よくはやっている感じですね。

金堀:そうですね。若者を中心に、よくはやるお店ですね、ここ。

菅原:1~3階、全部共通してるのは、癒やしの空間ですよね。

金堀:そうですね。建物が癒やしですから、癒やしのお店になってる感じですね。このヨガも大変人気で、常にいっぱいですね。

空気ですね、最初から普通にいるので、これが自然にはなっているんですけれども、何かの効果か、もちろん居心地は常にいいと思います。

すごく自然に和む感じ。ストレスとかは全然感じない。

最近本当に外は暑くなってきてるんですけれども、3階にも関わらず、熱がこもらなくて、ヨガって呼吸をすごく大切にするんですが、皆さんにもよくいっていただくんですけど、ここに入った瞬間からいい気の流れが感じられるとかっていうふうに、呼吸していることがすごく心地いい環境だと思います。

クーラーを付けていなくても、そんなに熱がこもった感じがないように思います。大きな鉛筆が立っていて、この町のシンボルのようなビルなので、とてもラッキーです。

菅原:皆さん、気持ちがいいという。このビルの一番大きな、施工上の特色って何ですか。

金堀:バウビオロギーという概念で作った、恐らく日本で最初の建物じゃないかと思うんですけども。

菅原:そのバウビオロギーっていうのはドイツ語ですよね。

金堀:そうですね。バウっていうのは、建築小屋というのが語源みたいですね。ビオっていうのは生命とかっていう意味ですね。

菅原:コンクリートの中に、普通とは違う何かが入ってるっていう。

金堀:そうです。これも初めてのことだと思うんですけれども、微粉炭という炭素の成分をコンクリートの中に1パーセント練り込んで、構造体をすべて作ったんですね。これは外壁も、内壁も。この建物の中に、外壁、構造体、すべてのコンクリートの中に炭素を1パーセント練り込んでおるんです。

菅原:この1パーセントの微粉炭工法っていうのは、世界で初めて作られたんですよね。考えられたというか。

金堀:そうですね。構造体の中に、こうして打ったのは初めてだと思いますね。

菅原:これを考えられて、施行されるきっかけになったのは何ですか。

金堀:木炭は空気清浄効果がある。これは多孔質だから、いい効果をするので、部屋の中にもよく置きますけれども、あるいは敷炭っていうのもありますね。床下に炭を敷きまして、それで部屋の中の換気をよくするというのも昔から行われておりますね。あと、埋炭っていうのがありますね。重要な建築物を作るときに、重要建築物を建てる敷地に大きな穴を掘って、その中に炭俵をたくさん埋め込んで、その上に建築をする。そうしますと、その上に建てた建物の中の物が傷まない。大変いい環境になるということがありますね。

これは木炭の多孔質を利用した吸着作用ということでは説明できないんですね。恐らく何かがあるんだろうと思いまして、そういう埋炭の現代版といいますか、コンクリートの中に、木炭を混ぜて、仕上げ材に塗るというのは昔から行われていたんですけども、これは強度が落ちてしまうんですね。

ピュアな炭素、砂程度の硬度のある炭素成分をコンクリートの中に練り込みまして、いろいろ強度実験をやってみたんです。1パーセントぐらいですと、強度が落ちない。むしろ強度が上がるという現象が。何度も実験やったんですけども、起きまして、その炭素というのは、実は、ここに持って来たんですけども、固形炭素なんです。

菅原:これは炭を粉末に砕いたわけでもないんでしょう?

金堀:木炭を入れますと、木炭柔らかいですから、灰分が多いですから、やっぱり強度が落ちるんですね。そのピュアな炭素成分にしますと、強度が落ちない。

菅原:同じ強度、もしくは強度が強化されるのであれば、むしろ使うべきっていう話になりますよね。

金堀:そうですね。空気環境をよくする効果はあると思います。