菅原:この逆垂木っていうのは、最初に入る空気っていうのは、ここから入るわけですか?
金堀:そうですね。ここが部屋の空間ですね。ここにまず杉の厚板、30ミリの敷き込むわけですね。その上に垂木を乗せますので、逆垂木で乗せたんですけども、屋根焼けますと空気は軽くなりますから、どんどん上昇気流が上がるんですね。このカーブの隙間を通って出る。屋根が焼ければ、焼けるほどこの上昇気流が早くなりますから。
菅原:早くなればなるほど、冷やされて、温度が上がらない。普通だと60度ぐらいになっちゃうときありますよね。屋根裏天井の屋根辺りは、もうほとんど40度ですよね。
金堀:40度になりますね。その放射熱で夜も熱をこもりますから、夏は暑いんですね。
菅原:絶対に冷房をやっても寝られないとか。
金堀:これも、実験もやったんですけども、この天井の表面温度は外気温にだんだん近くなってくるんですね。夜になってもその熱がこもってませんから、天井裏に。だから、私の家もほとんど、エアコンなしで夏も暮らしてます。
菅原:これはやっぱり特許をお取りになったんですか。
金堀:申請はしてます。
菅原:ところで、これやると高いとかっていうのは何か、私たちがよくハウマッチっていう気持ちがあるんですよね。これを、逆垂木工法を例えば無垢の杉板で、床をフローリングして3ミリのを使いますよね。
金堀:30ミリ。
菅原:30ミリ。3センチですね。それでなおかつ、逆垂木の屋根付けて。
金堀:屋根も30ミリの使うんですね。
菅原:それやったら普通よりどのぐらい高くなるんですかね。
金堀:コストは1~2割は高くなると思います。
菅原:坪単価辺り、60~70万とか。
金堀:そうですね。60万代だと思いますね。
菅原:でもそのぐらいだったら高いとはいえないですよね。
金堀:そうですね。省エネルギーになりますし、それから長持ちをしますし、住んで心地いいし。コストだけ考えても、ライフサークルコスト、維持するランニングコスト、それから何年もつかっていう耐久年数ですね。こういうものを考えますと、高くないと思います。むしろ安いと思います。
菅原:そうですね。耐久年限というのが、住宅の中で、日本だけが問題にしなかったんですよね。
金堀:短いんですね。
菅原:今、25年から、長くて30年ですよね。
金堀:そうですね。30年ぐらいですね。ヨーロッパでは50~60年。イギリスなんか90年ぐらい。
菅原:だから、それだけもって、それを年単位で割り算すると、1年あたりのコストで割ると、すごい安いものになっちゃいますよね。だから、あの逆垂木の無垢材を使って、漆喰壁でやれば、かるく50年は。
金堀:いや、100年もちます。100年以上もつ設計。
菅原:それはすごいですね。一人一人が、一生涯の財産ですよね。
金堀:そうですね。住宅はやっぱり、人生に及ぼす影響っていうのは大きいと思いますね。