トップ > 金堀 一郎さん(2010年7月11日・7月25日放送)

第10回 金堀一郎さん3

(2010.7.11,7.25放送)

菅原:コンクリートのマンション、ないしはそういう大きな建築物の、1番の問題点は中の水分が、南側と北側だと、南側はいいんだけど、北側のコンクリートの水分がなかなか蒸発しないので、それが結露の問題になったり、押し入れだとかびになっちゃって、それでマンションの北側のクローゼットに皮のハンドバッグ入れとくと、かびだらけになっちゃったり、本当に普通にありますからね。あれっていうのは、全部水分が蒸発しないことからくる大きな問題ですよね。

金堀:そうですね。結露の原因だと思いますね。このビルは結露しないんです。

菅原:そうでしょ。私はこれ、すごい可能性を持ってると思うんですよ。なぜかっていうと、世界中コンクリートで建物、建ててるでしょ。だけど、それに気が付いてる人いないんですよね。誰もやってないから。

金堀:そうですね。その埋炭やってたのは日本だけだと思いますね。

菅原:微粉炭っていうのは、工業用炭素ですからね、それをコンクリートに入れて、世界中やったら、今のかびの問題、これアメリカでも環境問題として、コンクリートの建物のかびがすごい大きいですよね。それがぜんそくの元だとかね。

金堀:かびが今度、胞子がこっちに飛ぶんですね。

菅原:その壁紙の中のかびの問題はものすごいアメリカの環境省なんか重要視してますから、やっぱり世界中の問題だと思うので、私はその中で世界で初めてこういうことをされて、ご本人はそんなに思ってないかもしれないけど、この可能性たるや、世界中のコンクリート建築に新しい時代を作れるんじゃないかと思うぐらい、すごいことだと思うんですよ。私は実際にペンシルビルを見せていただいて、とても空気がきれいだと思ったんですけど、それと同時に植物の育ちが、どうしても当たってる場所じゃないと思われる場所に、すごく大きなポトスが、天井まで届く方の葉っぱがこんな大きくて、なんか化け物のような大きいポトスが印象的だったんですけど、あれ、普通にですよね。

金堀:ちょっとVTR撮ってきました。ちょっと見てもらいたいんですけども、屋上に土を乗せまして、クローバーをまいたんですね。建ってもう10年なんですけども、これがペンシルビルの屋上なんですね。

金堀:いろんな雑草が生えております。鳥が運んで来るんですね。全く手入れはしてないそうなんですけども、毎年すごい自然な植物が繁茂するんですね。

菅原:本当に、なんか広島の市内から1時間ぐらい行った所の野っぱらみたいですね。

金堀:そうですね。これ1番中心地なんですけどね、広島の。

菅原:このクローバー大きくないですか。

金堀:大きいんです。できたところは15センチぐらいの葉っぱがなったこともあります。

菅原:このクローバーの花も大きいんですか。

金堀:そうですね。茎が15センチぐらいになったこともありますね。

菅原:本当になんか、あれですよね。何も手入れをしてないんだけど、自然の生態系の中で、自分たちでうまくいろんな花が咲きそろって。ここは人は来ないんですか。屋上は。

金堀:人は上がれないようにしてあるんですけど、手入れのために階段はあるんですけども。

菅原:なんかとっても不思議な空間ですよね。でもあれで、断熱材の代わりにもなってるんでしょ。

金堀:そうですね。遮熱、断熱。夏は涼しく、冬は今度は断熱の働きをしまして暖かいんですね。マンションでもそうですけども、ビルの最上階はなかなか暑くて、大変なんですね。

菅原:そう、コンクリートって暑いんですよね。

金堀:ええ。すごく焼けますからね。その遮熱を、省エネルギーのために屋上にそういうバオビヨロギーの試みもやってみたんです。

菅原:このエコロジー建築っていうのは、もう金堀先生のすごく大きなテーマだと思うんですけど、何年ぐらい前から?

金堀:そうですね、早かったんですね。20年近く前から、エコロジーのことをずっとやってまして、エコロジー建築、エコロジー住宅の研究と実践をやってきております。

菅原:最近は、戸建て住宅においては、エコを意識しない人はいなくなってきましたね。壁紙とか、それから無垢の建材を使う人も増えましたよね。

金堀:ちょっとVTRを撮ってますんで、見ていただけますか。

菅原:はい。

金堀:これは、私の次男のうちなんですね。

菅原:素敵な家ですね。

金堀:リノベーションなんですね。中を作り替えまして、これは杉の板を貼っておるんですね。

菅原:結構、厚そうな板ですね、これ。何センチの板ですか。

金堀:これは15ミリ貼ったんですけども、新築の場合は大体30ミリを使うんです。3センチの木板を使うんですけども。

菅原:和風建築のモダン型っていうか、すごくいいですね。

金堀:床と壁、天井もやり替えたんですけども、こういうこたつの天板も無垢の木なんですね。

菅原:これはリノベーションというと、もともと中古をお買いになったんですか。

金堀:そうですね。中古住宅買って、新建材貼ってありましたので、それを改装して、壁も、私の息子新婚なんですけども、新婚風にみんな塗ったんです。

菅原:これ漆喰ですか。

金堀:漆喰です。西洋漆喰ですね。

菅原:とてもきれいですね。

金堀:でこぼこがあるんで、そのでこぼこがいいんですね。天井はこれ、和紙を貼ってるんですね。これはタイから輸入した和紙で、タイ和紙なんですね。こういうふうに、ラフに塗るところが、湿式の壁のいいとこですね。建物までみんな塗っちゃったんですよ。

菅原:これ、自分たちでもやれるわけですか? 漆喰は、和風漆喰と、洋風漆喰だと、洋風漆喰は簡単ですか。

金堀:そうですね。日本の伝統的な漆喰というのは、これは固定の技術が必要ですから、熟練した左官が必要ですけども、普通の洋風漆喰は、素人でも十分塗れます。そのラフさがかえっていい感じですね。逆垂木通気工法のビデオもちょっと撮ってますので、見ていただきたいと思います。

金堀:屋根の通気口そのものはあったんですけども、それを新しく考案したんです。これ、実は私の家なんですね。実験住宅。これもやっぱり10年前に作ったんですが、半分壊して、半分を新しい、逆垂木通気工法で作ってみたんですね。

金堀:これ、中ですけども、逆垂木通気工法にしますと、天井がなしにしまして。

菅原:屋根裏がないんですよね。

金堀:屋根裏がないんですね。小屋裏がないんですね。

菅原:小屋裏がなくて、いきなり屋根が。

金堀:天井なんですね。

菅原:屋根が見えて。

金堀:屋根が二重になってる感じなんですね。

菅原:二重の屋根が、すごく高く感じて気持ちがいいですね、これね。

金堀:そうですね。開放感もありますし。空気が流れるようにしてるんですね。

金堀:これは吸い込み口ですね。ここから外気を吸いまして、屋根の中を通りまして、そのまま屋根の中をずっと通りまして、隙間を作ってまして、棟の所から瓦の隙間を通して出していくという。

菅原:あとで図解で見せていただくと分かりやすいですよね。

金堀:そうですね。