トップ > 中川恵一 さん(2010年1月10日・1月14日放送)

第4回 中川恵一さん1

(2010.1.10,1.14放送)

菅原:皆さん、こんにちは。地球の未来を守るためにさまざまな研究や開発を現在も行ってらっしゃる方々をお招きするのがこの番組です。そして、こちらがエコ君。

エコ君:地球をよくするためにたくさん勉強するエコ。

菅原:いきなりですけど、エコ君、きょうのテーマは、がんです。

エコ君:ガーン。

菅原:なんかちょっとおやじっぽくて、ずいぶん年取ったエコ君ですね。それじゃ質問しますけど、がんのこと知ってますか。

エコ君:とっても怖くて、治らない病気なんだエコ。

菅原:いや、それはちょっと違いますよね。がんっていうのも、早期発見すれば治るということが常識になってるんですよ。

エコ君:そうなんだエコね。実のところあまり知らなかったエコ。

菅原:ということで、専門医の立場から、がんのことを研究し、戦っていらっしゃるがんの専門家、中川恵一先生に来ていただきました。

エコ君:お医者さんエコ?

菅原:そう。今どういうふうにがんと向き合えばいいのか、これからどういうふうにがんと付き合えばいいのか、しっかり教えていただきましょう。

エコ君:きょうはがんの秘密が分かるエコね。きょうのゲスト、中川恵一さんは、東京大学医学部付属病院放射線科の准教授で、緩和ケア診療部長も務めているお医者さんエコ。また、病院でがんと戦う傍ら、がんへの理解が深まるように、講演や本の出版など、精力的な活動を続けているんだエコ。すごいエコ。

菅原:やっぱり手術をするか、放射線治療を取るか。

中川:日本の場合には手術が非常に好まれる。体のことを日本人は知らない。特にがんのことを知らない。

菅原:がんの教育とか、広報とか、そういう意味では、今までどなたもおやりにならなかったことをやってるのは、今不足してるものを、なんとかしなければならないという気持ちが強い?

中川:それはそうなんですね。定期的、2年に1回、あるいは、1年に1回、検査をする。これはもう世界の常識なんですね。ところが、日本はそういう予防の部分というのをやっていない。来ていただく患者さんはとても進行してる。もちろんその進行してる患者さんを一生懸命治してきたわけなんですが、少し国民ががんのことを知ってもらえば、こういった個別の不幸はなかっただろうな。もうちょっと早く検診とかしたら、こんなふうなつらい思いをしなかっただろうなということをずっと見てきてまして、これは乳がんと子宮けいがんの検診をどれだけ受けているか。子宮けいがん、アメリカでは83.5パーセントの女性が受けている。日本は24.5です。乳がんなんかもそうなんですよ。簡単にいうと、欧米では7割から8割が検診を受ける。日本は2割から3割。結局日本では、がんと診断される患者さんの中で、進行がんが多いってこと。早期がんで見つけるっていうのは、実は症状が出てからでは遅いわけだから、つまり、症状が出ないうちに検診をするってことなんです。ところが、こんなにやってない。この部分が、私が病院の外に出て、こういったお話しさせていただく大きな理由なんですね。

菅原:一般の商店の人とか、主婦の人にとっては、予防っていうことはあまり眼中にないですよね、社会的風土として。

中川:そうなんです。国民健康保険の中で健康保険を使って医療をする。その中には、例えばがん検診は入っていないわけです。韓国では、がん検診は健康保険を使ってるんです。

菅原:日本もそうなるといいですね。

中川:ええ。ですから、そうしませんと、例えば開業医の先生方が、あなた検診に行きなさいよというような指導をしても、そこは医療の外ですから、簡単にいうと、なんの経済的メリットもないですね。