トップ > 中川恵一 さん(2010年1月10日・1月14日放送)

第4回 中川恵一さん4

(2010.1.10,1.14放送)

エコ君:突然ですが、エコの素朴な質問コーナー。中川さんにエコの質問に答えてもらうエコ。中川さん、中川さん、実は内緒でしている秘密のがん予防法があるんじゃないエコ? どんな予防をしているのか教えるエコ。

中川:私はあんまり真面目ではないですけど、がんにならないことが、まず肝心ですよね。そのためにたばこを吸わないこと。たばこは吸いません。あと、たばこ以外何をすべきかっていうと、お酒控えめ、塩分控えめで、運動をして、野菜中心、肉も控えるという感じですね。その中で、野菜を多くして肉控えるっていう気持ちはあります。運動するってこともしている。お酒だけがなかなかやめられない。むしろエコ君になんか秘訣(ひけつ)を教えてほしいくらいです。ですから、普通です。

エコ君:お酒をやめるのは忍耐が必要エコ。中川さん、質問エコ。中川さんは死ぬならがんがいいっていっているらしいけど、本当エコ?

中川:これは本当です。がんって治らないと分かってから実際死ぬまで、おそらく2年ぐらいの時間があるんですよ。その2年の時間を、痛みさえ取れば、人生の仕上げができる。ころっと死にますと、死んだかどうか分かんない。成仏もしないかもしれない。一度しか死ねませんから、じっくりがんで死にたいと思います。

エコ君:中川さんのお話、よく分かったけど、やっぱり死ぬのは怖いエコ。そんなわけで、この後は緩和ケアとがんの教育についての話エコ。

菅原:早いうちからがんに対する予防教育を。

中川:体のこと、日本人が知らない。がんっていうと痛いっていう、そういうイメージが日本にはあるわけですが、アメリカでもがんが痛くないわけではないんですけど、はるかに痛みが取れてる。この数字を見ていただきたいんですが。

菅原:モルヒネのことですか。

中川:今は日本でモルヒネ以外にオキシコドン、ファンタニルっていう3種類ほど、いわゆる麻薬が使えます。医療用麻薬っていってますが、それの合算した使用量を先進7カ国で見てるんですが、圧倒的に日本は少ない。

菅原:すごい少ないですね。

中川:アメリカ人と比べますと、1人当たりの使用量は20分の1。

菅原:これは処方するのはどなたがするんですか。

中川:お医者さんです、普通の。誰でもできる。

菅原:誰でもいえば、例えば開業医の先生にいっても大丈夫なんですか。

中川:大丈夫です。ただ、患者さん自体が、麻薬っていうのは嫌だ、そういうふうな感覚を持って、麻薬などを使ったら命が縮む、そういうことをいわれますよ。確かに麻薬っていう言葉の語感もよくない。死ぬつもりがないってことは、体は永遠に持ってほしい。アンチエージングがこのごろはやってるのと同じかもしれませんが、その永遠に持つべき体に、いかにも悪そうな、放射線だの、麻薬だの入れたくないっていう、そういうムードがあるような気がしますね。しかし、こういうデータがあって、膵臓(すいぞう)がんの末期の方で激痛の方に対して、無作為比較試験ってありますね。簡単にいうと、くじ引きを引いて、例えばさいころでもいい。半か丁か。半が出たら痛み止め、丁が出たらただの塩水というふうに無作為に投与して、どちらが長生きしたか見たという、そういうちょっと非人道的な臨床試験があるんですが、結局痛み止めが当たった患者さんのほうが長生きしてます。

菅原:それはそうでしょうね。苦痛がなくなれば、お花もきれいに見えるし、ご飯も食べられたりとか、最後の遺言状いっぱい書けたりとか、思い残すことなく、健やかな感じで最期を迎えられますよね。それが緩和ケアなんですか。

中川:緩和ケアの一番大事なとこは症状を取る。その一番ポイントは痛みですね。もちろん痛み以外に心の問題とか、いろんな問題がありますよね。経済の問題とか、そもそもこの世から自分という存在がなくなること、スピリチュアルな問題、たくさんありますけど、しかし、痛いと、心理的な問題やスピリチュアルなとこに行きません。ですから、日本人は結局痛みを我慢して、しかも、命の時間も短くなってる。

菅原:それはすごく不幸なことだし、その常識をなんとか覆さなくちゃいけないんですけど、緩和ケアをやってる病院も、まだまだ、まだまだすごく少ないですよね。

中川:少ないです。

菅原:そういう病院に行ったら、病人1,000人に先生1人とか、そういうこといわれることがあって、実際にはほとんど緩和ケアを受けられたら超ラッキーな人だけっていうか。

中川:そんなおかしいですね。医療の基本はケアなんですよ。修道院から始まったじゃないですか、西洋医学は。ですから、まずケアがあって、その上に一部キュアという行為がある。そこを考え直さなきゃいけない。まず、痛いっていうふうに声を上げる。痛い、つらい。がんの場合に症状を我慢したほうが病気が良くなるみたいな、先ほど申し上げたように、痛いままの患者さんのほうが命も寿命も短いんです。ですから、声を上げることが大事ですね。