菅原:菌でも、けんかするものもありますよね。
曽我部:ありますね。
菅原:だけどこの3つはけんかしないで、仲良しグループなわけですね。
曽我部:いや、本来的には違うんですね。
菅原:そうなんですか。
曽我部:乳酸菌、酵母菌というのは、酸素が嫌がるんですね。納豆菌は酸素が大好きなわけです。酸素が嫌いなものと好きなものを混ぜ合わせたというのは、多分世界で初めてです。
菅原:だから、そういうことは常識では、やったら、あなたは基本のいろはのいの字を知らないのっていって、逆に怒られちゃうようなことをおやりになったわけですね。
曽我部:そうです。ご説明しますと、3つの組み合わせたぶんから、酵素が出てますね。もう1つ手前に、乳酸菌が作った、乳酸という酸性の強力な液体ができます。酵素ができて、酵母菌がアミノ酸を作りますね。その後、これはもう発酵の世界で、常識の世界ですけど、腐敗を抑制する物質ができる。あと、乳酸菌、酵母菌が増えて、これが自然界の土着の微生物のえさなんです。だから、この5つが組み合わさって、初めて台所とか、トイレとか、下水管とかの水がきれいになっていく。
菅原:後付けで説明は簡単だけれども、実際のところはやってみなくちゃ分からない。やってみて、これもできた、あれもできた、これもうまくいっちゃったっていうことで、それを見ていくと、やっぱりいろんな結果から、こういうことが同時進行してるんだなって。
曽我部:そういうことですね。
菅原:このマイエンザを作られるそもそものきっかけって、またあったわけですか。
曽我部:ありましたね。ちょうど11年前ですけど、愛媛県に宇和海っていうところがあるんですね。ここは真珠の養殖が盛んなんですけれども、阿古屋貝の大量へい死が続きまして。
菅原:阿古屋貝ってどのくらいの大きさでしたっけ。このくらい?
曽我部:このぐらいですね。
菅原:真珠の貝ですよね。真珠の貝が死んじゃうってことは、真珠も採れないということで、そこの地場の産業は全部駄目になっちゃうということですよね。
曽我部:そうです。当時、今の現知事と、元の副知事が、県民のためになんかやろうということで、いろいろ悩んだんですね。そのときに、愛媛独自の微生物を開発しようということで、こういうふうに私が勝手に宣言してしまったんですけどね。そのときに、税金は1円も使えないよというふうなことになりまして、じゃあボランティアでしましょうということで、自宅で開発して、食品工場で実験して。
菅原:それは珍しいですね。
曽我部:まあ、私は変わり者かも分からないですね。
菅原:普通だったら、公務員の時間で、研究費もいただいて、それで勤務時間中にやるものですよね。
曽我部:そうですね。