菅原:それをまったく違う、土日を、家で開発をされて、実験室もなくて。じゃあ、どういうとこでやったんですか。
曽我部:台所とか、お風呂にまで持って入って。
菅原:お風呂であっためて。
曽我部:あっためてとか。
菅原:入りながらあっためて。
曽我部:もう可愛い子どもを育てるように。
菅原:それはすごいいいお話だけど、一方で、見たら、何やってんのあなた、っていう世界ですよね。そういう奥さまじゃないんでしょ。
曽我部:おかげさまで、初めガラス瓶でやってたんです。職場から帰ってきますと、家内が、爆発しましたと。炭酸ガスが発酵するときに出るもんですから、ガラス瓶が爆発して、飛び散ったみたいなんですよ。でも彼女はちゃんと後片付けしてくれてね。
菅原:すばらしい方ですね。
曽我部:いやもう、それほどでは……。
菅原:もうほんとに、普通の主婦では真似ができないというくらいに。
曽我部:いやいや。
菅原:ほんとに素敵な奥さまですね。
曽我部:彼女の力も、かなり幸いしたと思いますし、それと、上司に恵まれたというか。お金は出せないけど、人のためにやれよというふうなことで。 ちょっと話変わるんですけど、完成した後、どうしても政策として、県の事業にしたいというふうなときに、予算をつけてやるから、おまえ事業にしろといわれたときに、私は反対したんです。30分反対して粘ったんです。そうすると、そのときに上司が、予算をつけてやるっていって反対したのはおまえだけやといわれたことがあったんですけど、そのときに、人さまのためになるんだからやれよと。失敗したらわしが責任取ってやるといわれたんです。
菅原:それはまた、昔の武士道精神にのっとった素敵な上司ですね。
曽我部:そうです。もうこんな人いないですね。じゃあ、もうやりましょうということで、始めたんですけど。
菅原:そのときに、スケールが大きくなったわけですね。あちこちで、具体的な……。
曽我部:そうです。県の事業として、モニター制度で55社、県内業者に声かけて、私が元いた工業技術センターという職場にバイオタンク作りまして、キオウサンにずっとお渡しをして、実証試験してくださいと。技術的には完成して自信はあったんですけど、やっぱり皆さんが理解していただかないといけない。
菅原:だいたい食品工業が多かったですか。
曽我部:食品とか、あとは堆肥センター。カチゴフンの堆肥作ってるところとか、生ごみを堆肥化してるところ。
菅原:それは堆肥がよくなるっていう意味で。
曽我部:ええ。おかげさまで、160日かかって発酵してた堆肥が60日でできるようになった。
菅原:すごいですね。
曽我部:はい。しかも、農家さんが、その堆肥を作ることによって、きゅうりだけで1,000万円採れた農家が5軒出たんですよ。
菅原:すごいですね。
曽我部:それでもう評判になりまして。一番喜んでるのは農家さんですね。
菅原:これからの時代はやっぱり、地球全体を視野に入れたエコっていうことを考えると、誰でもできて、大きなプラントでも、何トン、何十トン、何百トン単位でこれを作ることができて、一方では、主婦の人がヨーグルトみたいに小さいのでちょこまかちょこまか作っても、それが同じ効果があるっていうことが、すごく大事ですよね。
曽我部:そうですよね。