エコ君:ここで、ちょっとスタディー。古着からバイオエタノールを作る技術を開発した高尾さん。その仕組みを簡単に説明するエコ。
まず、企業にお願いして、要らなくなった洋服や古着の回収をするエコ。
その古着をばらばらに分解して、水の入ったタンクに詰め、セルラーゼという酵素を注入。温度を50度前後に保つと、酵素が活性化し、綿の主成分であるセルロースを分解するんだエコ。
さらに数日間置いておくと、セルロースの分子構造が壊れ、グルコースという糖になるんだエコ。
そのグルコースを3~4時間発酵させ、蒸留すれば、バイオエタノールができるという仕組みエコ。古着がたくさんの工程を経て、バイオエタノールになるってことが分かったエコ。
菅原:思いつかれたのはいつ頃ですか。
高尾:かれこれ3年前なので、今で4年目ですね。26歳ぐらいだったかなと。
菅原:どんなきっかけから。
高尾:非常に小さいベンチャーを起こしたんですが、そのベンチャーの社長の岩元と意気投合しまして、飲みながらなんですけども、話をしているときに、綿繊維をなんとかリサイクルする方法がないかということで、エタノールにできないのかって話を、出たんですよ。飲みの勢いも手伝ってかもしれないですけども、酵素にやって、発酵させればエタノールはすぐ作れるんじゃないかって話が、なりました。
菅原:でもそこから3年半、つまり4年間の間、いろんなご苦労をされながら、それをリアルな世界で立ち上げるっていうんですか。ベンチャーっていうのは、まず自分のお金だけじゃできないでしょ。
高尾:そうですね。
菅原:そこで、やっぱり巻き込み力っていうのね。
高尾:そうです。いろんな人に協力してもらう。
菅原:巻き込んで、協力してもらって、自分たちのやろうとしてる夢みたいなもの、それを大勢の人に理解してもらう作業がすごく大事ですね。
高尾:そこです。そこが大変です。僕は研究の方もあったんですけども、巻き込んで一人一人に協力してもらうことってすごい大事なので、同じ話を何回も何回も繰り返しました。
菅原:それで、だんだん理解してくれる人が出てきて。何年目ぐらいに実験モデルとしてのプラントを作られたんですか。
高尾:やっぱり協力していただける方が出てきて、去年ですね。やっと動き始めました。
菅原:実験プラントがどちらでしたっけ?
高尾:実験プラントは愛媛の今治市っていうところにあります。
菅原:そこを選ばれた理由っていうのはあるんですか。
高尾:ええ。今治市というのはタオルの生産地でして、われわれがターゲットとしたい綿繊維っていうのがたくさんある土地です。最初は、僕らもいろんな方とお話ししてる中では、なかなか話が通らないことの方が多いんですけども、やはり今治に行くと、皆さんよく話を聞いていただいて、いろいろ協力していただきました。
菅原:実際にプラントの装置の設計図みたいのがあったら、それを使って説明をしていただくと分かりやすいかと思います。
高尾:こちらですね。大きく2つの部分からできてまして、1つが、繊維から糖を作って、発酵させてエタノールを作る部分と、それを精製する部分とになってます。
菅原:ここには、古着のシュレッダーをいきなり入れちゃうんですか。
高尾:古着をここに入れてしまいます。それで、酵素を入れて、ここで糖化させた後……。
菅原:60時間たってから、イースト菌みたいな酵母を入れるわけですか。
高尾:そうです。
菅原:そうすると、同じタンクの中で、今度は、最初ブドウ糖になってるのが、次にエタノールに変わると。
高尾:そういうことです。
菅原:このタンクの上のところは、冷やす装置?
高尾:そうです。これはコンデンサーで冷やす装置。
菅原:冷蔵庫みたいな感じですね。
高尾:そうです。
菅原:ぽたぽたぽたっと。
高尾:ここにたまります。
菅原:ここのスタートから、アルコールになるまでの時間は、だいたい何時間ですか。
高尾:だいたい3日ぐらいを。72時間ぐらいを考えてます。
菅原:アルコールって、においをかがせていただけますか。
高尾:ここでできたアルコール、エタノールっていうのがこれです。
菅原:ちょっと、においを。バーボンとにおいが違うかな。でもアルコールのにおいですね。
高尾:そうですね。
菅原:そんなに嫌なにおいじゃないですよね。
高尾:酵母を使って作っているので。
菅原:酵母のにおいも残ってますね。でも、工業用じゃないから、多少、そういう微量なのあるけれど、ほとんど酵母の香りとお酒のにおいですね。なんか、いいにおいですね。