トップ > 地球大好き未来便スペシャル > 「小さな国の大きなエコロジー」

続いて向かった先はオーストリアのもっとも東に位置するブルゲンラント州。奈良県とほぼ同じ大きさの免責におよそ281万人が暮らしています。

かつて、この州は工業や観光などの大きな産業がなかったため、地域を活用できる新しい産業を持ちたいと思っていました。そこでなんとか自分たちでエネルギーを賄えないかと考え、2013年までに100%自然エネルギー化を目指すという壮大な目標を掲げたのです。このエネルギー政策について詳しく話を聞くため、ブルゲンラント州知事、ハンス・ニースルさんのもとを尋ねました。

菅原:今日はお忙しいところ、ありがとうございます。ブルゲンラントはこのオーストリアの中でも特に自然エネルギーで頑張っている州だとお聞きして来ましたが、自然エネルギーに頼る前の状態からお話してほしいのですが。

ニースルさん:10年前の話をさせてください。10年前、ブルゲンラント州で1年間使われている全電気の3%しか再生エネルギーを使用していませんでした。2001年から再生エネルギーに力を入れて、今日までの10年の間に大変良い結果になりました。ブルゲンラント州で使われている電気の60%が再生エネルギーでまかなっています。その60%のうちの50%は風力で、10%はバイオマスです。

菅原:10年前に6%しかなかった自然エネルギー率がこの10年で60%になる大きなきっかけがあったのですか。

ニースルさん:きっかけは、1995年にオーストリアがEUに加盟したことです。加盟すると助成金をもらうことができますが、ブルゲンラント州はその助成金をもらうことができましたのですが、助成金は、革新的な企画のためにしか使うことはできませんので、最初はギュッシングというブルゲンラント州の南のほうにある街に再生バイオマスエネルギーのために研究室を作りました。ブルゲンラント州の風力発電所の場所がありますが、それもEUの助成金で造られています。

菅原:そういう前向きな、助成金を使って良い研究をした結果、研究で終わらないで、実際のエネルギーコストを下げながら、自然エネルギーをここまで上げてきたのは、正しい助成金の使い方ですね。

ニースルさん:はい、そうだと思います。おかげさまでこちらのモデル地域になりました。オーストリアは昔、研究開発があまり進んでいない国だったのです。そこで、オーストリアは力がある者を探して、それを再生できる研究と開発だったのです。

菅原:その結果として、失業率とか産業構造がこの州でどんどん広がって良くなったということはありますか。

ニースルさん:はい、失業率は大変下がりまして、今、環境保護、グリーンエネルギー、再生エネルギーに関しての仕事が大変増えています。それによって失業率は半分ぐらいになりました。

菅原:新しいエネルギーを作ることで、随分と産業が発展するというモデルになったということは、ヨーロッパは森林の国ですから、ほかの国のモデルとして失業率を下げる方法を提案しているということにもなりますね。

ニースルさん:はい、そうなんです。もちろん、失業の問題だけではなくて、こちらの地域の活用を大事にするという一つのモデルにもなりました。今、ヨーロッパのモデル地域になっていて、60%が再生エネルギー、つまり、風力とバイオマスでまかなっているというのは我々しかありません。これからは、100%まかなうことができると思っていますし、さらに100%を超えて、電気を売る売電をしようと思っています。

菅原はブルゲンラント州の中でも最も成功しているエコの町として州知事に紹介されたギュッシング地域を訪れました。

菅原:1990年代、ギュッシング市は大変貧しいところだったと聞いたのですが、その理由が、生活の中で、電気代だとかガソリン代だとか、冬場の灯油代で、ものすごくお金がかかり、生活しにくかったという話を聞きましたが、本当ですか。

ケグロヴィッツさん:その時代、どのように国民に説明したかというと、まず、市民には電気、熱が必要です。市民たちが自分達で使う燃料を作らなかった場合は、他の地域から買い付けしないといけないと説明しました。他の地域から買い付けをすると、お金はこちらの地域に回らなくなり、お金は違うところに行ってしまうでしょうと。 そして、地元には燃料になる資源がたくさんありますよと説明しました。そうすると、森を経営している人から新規の買い付けをするようになりました。この地域の仕入れの買い付けをして、それが燃料として加工されて、そうすると、地元のお湯と電気、燃料が地元で作られています。そのおかげでこの地元にお金が循環します。 地元の人々は自分の森を管理して、伐採して、州設備のほうに搬入して、その設備を自ら作って、そうすると、本当に結構たくさんの新しい仕事ができたのです。

菅原:経済的な問題を知りたいのですが、1990年代ですが、実際には、そのころ、ここに住んでいるギュッシング市民が1家族あたり、光熱費とか、ガソリン代とか、灯油代とか、合計して1年間にどのくらいのお金を出していたかわかりますか。

ケグロヴィッツさん:暖房につきましては、1996年まで、ほとんど灯油しか使われていませんでした。1996年以降、ギュッシングに住んでいる市民は、市内のバイオマス施設から供給されています。

実は1996年、バイオマスで発熱された熱の料金は灯油よりも高かったのです。この20年の間に原油は大変高くなってきました。その分、こちらのバイオマスが安くなってきました。今現在、どのくらい使っているかということは答えられます。今は、ギュッシング市民1キロあたりで、7ないし9セント。同じくそれは灯油を使うとおそらく11~12セントです。

菅原:バイオマスで発電もしているのですか。

ケグロヴィッツさん:はい。第1には森林からの木材のチップ、第2は、こちらの近くに木材の生成会社がありますが、それはフローリングを作っている会社です。そこで使わない分を燃やして熱を作っている。もうひとつあるのはバイオガス。バイオガスの場合には、牧草とトウモロコシ、もうひとつあるのは鳥のフンを使っています。

菅原:メタンガスからできた発電所もあるわけですか。 通訳:バイオガスの技術について、まずは牧草とトウモロコシを大きな発酵機に入れます。その芝生が発酵する間にいろいろなバクテリアが発生します。それで発酵させて、そのあとはメタンガスで発電機を回して電気を作ります。