トップ > 大和田哲男さん(2009年10月11日・10月25日放送)

第1回 大和田哲男さん2

2009.10.11,10.25放送

エコ君:これは一言でいうと冷凍技術なんですよね。

大和田:そうですね。私どもはパルス磁場っていうのと、低周波の磁場を組み合わせて、いわゆる組織を生かすという、そういう技術開発をしたっていうのが基本になってまいります。

菅原:そうすると、解凍したときに、冷凍したものには見えないよっていうことですか。

大和田:取りたて、作りたてに戻すっていうのが、私どもの開発のもとです。

菅原:その設備したのは、これで見るとどの辺に磁石が入ってんですか。

大和田:この中にこういう形で入ってるのと、あと本体の中にも入ってます。

菅原:例えば真ん中に鉄とかステンレスとかあって、コイルで巻いてあって、そこに電流を通すと磁界ができるって、そういうふうに考えていいですか。

大和田:鉄の棒は入ってませんけど、それに代わるようなものが入ってます。

菅原:ここにあるのは、これはカキですよね。これは何ですか。

大和田:大根おろしです。

菅原:大根おろし。それからこれは?

大和田:ホウレンソウです。

菅原:ホウレンソウ。普通ね、魚とか貝とかをそのままラップもしないで冷凍すると、冷凍中にどんどん乾燥したり酸化したり、すごい臭いにおいに、酸化した変な魚の、魚臭というんですか、そういうのがどんどん増えてくるんですよね。だけどこんなふうに裸のむき身のまんま冷凍するんですか。

大和田:そうです。

菅原:あら、それはすごいですね。

大和田:磯の香りまで戻りますから。

菅原:そうなんですか。

エコ君:これがCASシステムを使って冷凍した食品を解凍したものエコ。イワガキにホウレンソウなど、見た目は新鮮なものに見えるエコ。おいしいそうエコ。

大和田:これは島根県の隠岐の島の海士町っていうところの、約1年前のイカです。

菅原:1年前ですか。きれいですね。

菅原:すごいですね。これは何ですか。

大和田:瓔珞さんというところで鯛飯を、CASをかけまして、レンジアップですぐ食べられるという。

菅原:いい香りですね。タイのものすごくいい香りがしてますけども、すごくふっくらしてて、ご飯もおいしそうですね。うん、ちょうどいい味。これは何かいろいろ話すより、食べちゃうのが早いですね。食べるとすぐ分かりますね、すごいおいしい。

エコ君:そして、市販の冷凍ホウレンソウとCASシステムのホウレンソウを食べ比べてもらうエコ。こっちが市販の冷凍ホウレンソウエコ。そして、こっちがCASシステムのホウレンソウエコ。見た目が全然違うエコ。味にも違いがあるエコ。

菅原:あ、おいしい。見た目が違うだけじゃなくて、こちらの方にはフレッシュな香りと、おしょうゆによって引き出される甘さがすごいですね。主婦にとっても、このようにホウレンソウをゆでられたら、すごい大したもんなんですけど、CASを使ったものをいきなりもらった方が、ゆでる時間も要らないし。価格もホウレンソウ売ってるやつって高いんですよね。CAS冷凍だからといって、こっち側の冷凍に関して、こっち側が高く払わなきゃいけないっていうことはないんですか。

大和田:そういうことないですね。やはり生産者がこれから加工という道に入っていきます。そうしますと、生産者の原価を、消費者はその中抜きが始まりますので安く買えるという。これからの冷凍食品というのは、解凍して売るんじゃなくて、刺身もなにも自分のとこで簡単に解凍できますので、そうすることによって浜の味がそのまんま戻るという。

菅原:わあ、すごい。

 

大和田哲男

1944年生まれ。菓子製造装置メーカー、食品メーカーを経て1966年6月、菓子製造機械を製造する株式会社大和田製作所に入社。1975年に「生クリーム凍結機」を開発。1989年2月、アビーインダストリー株式会社(1998年株式会社アビーに社名変更)を設立し、CASの開発を推進。2001年に最初の実用システムが完成して以降、その研究には世界中から注目が集まっている。2008年7月号の米経済誌『フォーブス』では、「ミスター・フリーズ」と題し、1920年代にアメリカで急速凍結が登場して以来の画期的な新技術としてCASが紹介された。