トップ > 涌井徹 さん(2009年11月8日・11月22日放送)

第2回 涌井徹さん4

(2009.11.8,11.22放送)

エコ君:突然ですが、エコの素朴な質問コーナー。涌井さんにエコの素朴な質問に答えてもらうエコ。涌井さん、準備はいいエコ?

涌井:はい。

エコ君:じゃ、行くエコ。洗わないで食べられるお米、無洗米を作っている涌井さんだけど、便利なだけに体に悪いんじゃないエコ?

涌井:無洗米は、うちが出してるのは、水で洗ってるので。普通家庭で洗うのと同じように洗うわけですよね。ただ、そのときに大事な事は、水がお米に染み込む前に、ワイパーのように、水ですぐ洗い、ごみを取ってしまう。それからすぐ乾かしますので、米に米ぬかが残らないし、薬を使ってないので、まったく健康には問題無いですね。

エコ君:それは安心エコね。まだ質問があるエコ。涌井さん、エコも、農業の仕事に興味があるエコ。ここだけの話、農業でがっぽり稼ぐ方法を教えてほしいエコ。

涌井:簡単にもうかれば農業辞める人は居ないんだけども、ただ、農業を農作業として考えたらもうからないですね。農作業ではなくて、米を、農作物をどうやって販売するのか、どうやってお客さまを見付けるのか、どうやってお客さまに伝えるのか、どうやって安全な物、どうやっておいしい物、どうやってってふうに、お客さまに向けて何が提案できるか、それをしっかりと持った人は必ず成功します。ただ脱サラで、農業やりゃもうかるんじゃないかなっていうことでは駄目ですよね。そこを考えればもうかりますよね。

エコ君:エコも考えてみるエコ。これが最後の質問エコ。涌井さん、涌井さん、お米ってこれからも日本人の主食であり続けるエコ?

涌井:それは、たぶん、私もずっとやってきましたけども、医学的には日本人の腸の長さっていうもので、お米が合ってるといわれてますけども、基本的にはこれからも主食であり続けると思いますよね。ただ、残念な事に、作る人が減ってしまうので、日本の主食であり続けられない状況になりつつあるよね。だから、あり続けるためには、農業ができるような環境を国民みんなで整備しておかなきゃいけないなっていう、非常にそういう意味では不安を感じてますよね。

エコ君:お米が食べられない時代が来るかもなんて、考えられないエコ、耐えられないエコ。そんな訳で、この後は農作業の未来のお話エコ。このまま行くと、5年後にはお米が食べられなくなるかもって、みんな知ってたエコ?

涌井:ものすごく深刻だと思ってるんですよね。

菅原:後継者居ないわけですからね。

涌井:日本の農家の、300万人の農家の60%、65歳超えてるのが180万人ですよ。この方は10年たったら後期高齢者ですね。全員辞めます。後継者は皆無です。農家の収入っていうのは1年間で30万、農業収入ね。1年間に30万しかないのに、所得補償したって駄目なの。全部辞めるの。そうすると、60%の方が耕作してる面積っていうのは、日本の農地面積465万ヘクタールのうちの、300万ヘクタールなのね。

菅原:ほとんどですね。

涌井:そうすると、食料自給率10%になるんですよね。そのときは5年後に控えているのね。今、60万ヘクタールは耕作していないですね。放棄地が40万ヘクタール、20万ヘクタールは作付けしていないの。なぜ作付けしてないのかっていうと、そんなこと作付けするよりは、荒らしておいた方いいよってこと。しかし、それは、60万ヘクタールが300万ヘクタールになるのは、目の前に見えてるの。そこで、いろんな政策で、戸別所得補償方式とかさまざまな事いってますが、本当は駄目なのね。今のとこ農民はひとつも未来感じてないの。

菅原:ここから5年で食料危機が日本に……。

涌井:来ます、間違いなく。

菅原:本格的に来て、そのときに世界も同時に異常気象だったら、よその国からお米を買おうって思っても、買える状態ではない。また、パンも小麦も輸入できない状態が同時に来る可能性ありますよね。そういうこと考えると、あきたこまちでしっかり作ってる、そういうことを他の地域でも同じようなことやらないと、補償だけで、お金の問題じゃなくて、作ることの喜びとプライドと希望も、それが無いと駄目ですよね。

涌井徹

1948年、新潟県十日町の米作り農家の長男として誕生。1967年、新潟県立十日町高校卒業。卒業後、同県立農業教育センターに専攻生として入学し、1968年、同センターを卒業。1970年、大規模な米作り農業を目指し、家族とともに秋田県の大潟村に入植。入植と同時に減反政策が始まり、メロン・ほうれん草・玉葱・小麦などの畑作農業に取り組んだが、干拓地では畑作が向かないため、米作り専業に転職。1987年、「大潟村あきたこまち生産者協会」を設立し、代表取締役に就任。現在、日本のモデル農業として誕生した大潟村で、生産・加工・販売まで手がけ、「農業発の一流食品メーカー」を目指し、日々、取り組んでいる。主な著書:「農業は有望ビジネスである」(東洋経済新報社)。