菅原:類人猿のことについて、いっぱい聞きたいことだらけなんですけれども、類人類っていうのが研究対象になって研究され始めたのはいつごろからなんですか。
平田:野生のチンパンジーの研究が始まったのが1960年ですね。
菅原:50年ぐらい前。
平田:50年ぐらい前ですね。野生チンパンジーの1番最初の成果は道具を使うっていうことが見つかったことですね。
菅原:じゃあ、いわゆる類人猿と人間の差別化は道具だっていいましたよね。それは実は間違ってたと。
平田:間違ってたと。
菅原:間違ってたというショッキングなデータが出てきたわけですね。
平田:そうですね。それが1番最初の成果ですね。
菅原:今まで私たちが常識だと思ってきた生物の進化の歴史も、本当は信じてることがまだ正しくないだろうということを、突き崩していくような研究がまた類人猿からまた出てきそうなんですね。
平田:みんな、人間って特別だってどこか思いたいところがあると思うんですけれども、そうじゃないんだっていうことを見つけるっていうことが1つ、成果になりますし、逆に、その方が人間にとって今後の将来のことを考えるにとっても役に立つことはあるんじゃないかなと思いますね。これがヒトも含めた霊長類の仲間の枝分かれ、進化の中でどう枝分かれをしてきたかっていう系統図なんですけれども、大体6,000万年から7,000万年ぐらい前に霊長類の最初の祖先が地球上に生まれてきまして、その中に、類人猿っていうふうに呼ぶんですけれども、その類人猿の中で東南アジアとか中国の南部辺りに住んでるテナガザルとか。ここから先はさらに類人猿の中でも体が大きいっていうふうに大型類人猿って呼ぶんですけど、その大型類人猿の中でオランウータンっていうのが最初に分かれてきて、さらにその後でゴリラが分かれて、その後、大体500万年から700万年ぐらい前にここで一方、枝分かれをしてきたグループがあって、それがヒトなわけです。その、もう一方のグループはさらに250万年ぐらい前にまた2つに、ここから先、枝分かれをして、一方がチンパンジーで、もう一方がボノボということになりますね。
菅原:そうすると私たちは、はっきりいうと、やっぱりサルの一種っていうことなんですか。
平田:そうですね。だから、一般にはヒトとヒト以外のサルっていう1本の境界で、サルの中でもヒトが特別なんだっていうふうに思いがちですけど、そんなことはない。人間もサルの仲間なわけですよね。ヒトとチンパンジーの違いでDNA、大体1.23%っていうふうにいわれています。
菅原:それもショックですね。毛が3本ぐらい、ショックですね。
平田:本当にちょっとの違いしかない。