エコ君:突然ですが、エコの素朴な質問コーナー。平田さんに、エコの質問に答えてもらうエコ。ねえねえ、平田さん、準備はいいエコ?
平田:いいエコ。
エコ君:まねされると照れるエコ。平田さんに質問エコ。ねえねえ、チンパンジーって人間みたいに恋愛するエコ?
平田:異性の好みっていうのはありますね。人間とはちょっと違うんですけど、若い女性はあんまりもてなくて、どっちかというとちょっと年上で、1人、2人、3人、子どもを育てた経験のある女性の方がもてますね。男性の方、男の方は順位が高い方がペアになるっていうか、交尾する確率は高いんですけれども、別にメスから見て、順位が高い方が好きかっていうと必ずしもそうじゃないみたいで、そういう場合は順位が低いオスが好きな場合は、順位の高いオスの前で仲良くしてると怒られるんでちょっと遠くまで駆け落ちみたいな感じで出かけて行ったりするっていうこともありますね。
エコ君:チンパンジーの世界にもロマンスがあるんだエコね。次の質問エコ。平田さんにもお子さんが居るって聞いたけど、チンパンジーと人間の子ども、似ているところはあるエコ?
平田:見た目が似てますね、やっぱり。顔つきも似てるし、体つきも似てるし。毛があるかないかっていうとこでだいぶ違いますけど。それからもう1つ、生まれた段階でほとんど何もできない、親が育ててあげないと何もできないっていうところも似てますね。だから、お母さんがちょっと支えながら抱っこしてあげないといけなかったりしますね。
エコ君:平田さん、どっちがかわいいエコ?
平田:自分の子とチンパンジーの赤ちゃんだと、自分の子どもっていっておかないと大変なことになるかもしれないので、自分の子どもですね。
エコ君:きっとかわいいお子さんなんだエコ。じゃ、最後の質問エコ。エコもチンパンジーと仲良くしてみたいエコ。ねえねえ、チンパンジーに好かれるにはどうしたらいいか教えてほしいエコ。
平田:1ついえるのは、やっぱり見下していると向こうも分かるんで、あんまり親しい関係にはならないですね。長い間、いい関係でいようと思うとやっぱり、人間の方も相手のチンパンジーのことを考えて同じ土俵でというか、同じ地平の上でつき合う、相手のことを考えてつき合うっていうことが大事だと思います。逆にそうしないと、向こうの方にもばれてしまって、このヒト、嫌いっていうふうな、良くない関係になる確率は高いと思います。
エコ君:平田さんはチンパンジーに好かれているエコ?
平田:好かれていると思いたいですが、どうでしょうね。ちょっと帰って聞いてみないと分かんないですけど、聞いてみても答えてくれないんで、どうしようもないですけど。
エコ君:人間もチンパンジーも相手を思いやる気持ちが大事エコね。なるほど、勉強になったエコ。この後、チンパンジーとの実験後半戦だエコ。感動の抱擁、一見エコ。
平田:共同作業というか、協力に関する研究で、私の主な興味の1つでもあるんですけれども、これはまず1人のチンパンジーがひもの両端を持って引っ張るとブロックを引き寄せることができて、そのブロックの上に食べ物が載っていて、その食べ物を取るっていうことの練習ですね。その練習ができたところでブロックを2つにして、それをつないでおいて、2人のチンパンジーが協力してそのひもの2本の端を一緒に引っ張らないとブロックを引き寄せられないっていう状況にしたときに2人のチンパンジーが協力するかっていうのを見たんですけれども、最初は全然できないんですね。片っぽのチンパンジーがひもを引っ張って、ひもだけするする抜けてきて、ブロックを全然、引き寄せられないっていう、そんな失敗が何回か続いて。そういう意味ではチンパンジー、最初から相手と協力するっていうほどのことではないっていうことはまず1ついえますね。いろいろ失敗をするんですけれども、ちょっと条件を変えながらいろいろやっていくと最終的にはこんなふうに2人で一緒に引っ張って成功と。黒いブロックを引き寄せて、その上に食べ物が載ってるんですけど、それを取ることができました。
菅原:これ、すごいですね。本来、こういうことをやんないんでしょ?
平田:そうですね。野生の状態では相手と協力して何かするっていうようなことはほとんどなくて。でも、ないからといって、できないのか、それとも能力があるんだけれども、発揮する場面がないのかっていうのは野生の観察だけでは分からないので、それでこういうふうに実験的にこういう場面を作ってみたっていうことですね。次がこれまた2人のチンパンジーが協力をしないといけない場面なんですけれども、1人では動かせない重さの非常に重い石の固まりがあって、それを動かすと実はその下に穴が掘ってあって、穴の中に食べ物が入ってるんですね。それを知ってるんで、なんとか1人で動かそうとするんだけれども、全然、2人で協力するそぶりは最初はありません。で、私が協力相手になったらどうなるかっていうことで、単純に僕が協力してはしょうがないんで、私が引っ張る方向を一定に決めておいたんですね。チンパンジーは私に合わせないといけないっていうことを理解するかっていうのを見たんですけれども、最初は全然、反対の方向に引っ張ってたのが最終的にはこんなふうに一緒の方向に引っ張って、力があって、石が動いて、中の食べ物を取って、良かった、良かった、取れたよっていうふうにいって来てくれるとこですね。 それが済むと今度は私がもうちょっと意地悪をして、引っ張るそぶりを全然なしに無関心を装ってちょっと離れたとこに居ると、チンパンジー、まず1人で引っ張ろうとするんだけれども、1人ではちょっと重くて動かせないわけですね。そうすると、ちょっと離れたとこに私が立ってるのに気づいて、手を引っ張ってきて、一緒に動かしてよっていうような感じで、協力することを催促するわけです。そうすると、私も意地悪ではないんで、一緒に引っ張ってあげて、このミズキっていう名前のチンパンジーは食べ物を取りました。だんだん繰り返していくと、最初に自分で引っ張って駄目だっていうことを確かめる前からもう離れて立っている私の方にやって来て、一緒に引っ張ることを誘ってるわけですけど。というようなのが、協力、共同作業に関する実験の映像でした。