トップ > 平田聡 さん(2009年12月13日・12月27日放送)

第3回 平田聡さん3

(2009.12.13,12.27放送)

菅原:あまりにも違わな過ぎて、何、それって。そうだとしたら、もっと大事に扱ってあげないといけないんですかね。

平田:そうですね。ウマとシマウマのDNAの違いが1.5%ぐらいっていうふうにいわれてます。

菅原:あら、それより……。

平田:それより近い。

菅原:それより親戚なんですね。ヒト科に属する人間はなんか、脳が進化、したとか、そういうふうな痕跡はDNAにはあまりないわけですね。

平田:知能のレベル、だいぶ差があるっていうことは間違いないと思うんですけれども、それが1.23%の違いの中のどのぐらい重要なのかっていうことに関してはまだ分かってないっていうのが正直なところなんですね。

菅原:要するに、やっぱり欲深い種族として枝分かれしたことだけは確かですよね。

平田:そうですね。片や、人間の方は地球上で今は60億以上居て、もう一方のチンパンジーは20万頭居ないだろうっていうふうにいわれてますんで、この枝分かれの過程で何がその違いを生んだのかっていうことを考えると、さっき、先生がいわれたように欲深さというのも1つあるんじゃないかなと思いますね。

菅原:すごい生きたいという欲とかね。

エコ君:チンパンジーとたくさんの研究を行っている平田さん。その実験の様子を見るエコ。かわいいチンパンジーたちの活躍にも注目エコ。

平田:チンパンジーの自己認識の実験なんですけれども、あれは顔にいろいろシールを貼ってるとこですね。で、その後、鏡を見せたときにどうするか。もしも、その鏡に映っているものが自分だっていうことが分かったら、鏡を見ながら、そのシールを取ったりするはずなわけです。この段階でシールを貼られてることは知ってるんですけど、どこにあるのかっていうのは分からなくて、鏡を見て初めて分かる。しかも、鏡に映った映像が自分だっていうことが分かって初めて、こういう鏡を見ながらシールを取るっていう行動が出てくるわけなんですけれども、それがチンパンジーではできるということですね。今、一生懸命、頑張って鏡を見ながら、頭にシールがついてるのを確かめながらそのシールを取ってるとこですね。

菅原:すごいですね。

平田:もう1個残ってるんで、もう1個取ってますね。取れました。この後、まだある? って聞くと、もう要らないっていうんで、全部なくなったっていうことも分かってるわけです。これはまたもうちょっと年齢の若いチンパンジーの場合だと、シールがついてても全然……。

菅原:反応しない?

平田:反応しなくて、むしろ、鏡の向こうにまた別の友だちが居るみたいな感じで、相手に対する社会的な、他者に対する行動みたいなのが出てきてるとこですね。

菅原:全然、反応が違うんですね。

平田:人間でも、鏡に映った自分を分かるようになるのが赤ちゃんで2歳ぐらいっていうふうにいわれていて、最初の段階は分からない、それが発達に沿って分かるようになってくるんですけれども、チンパンジーの場合も比較的似ていて、赤ちゃんのころは分からないんだけれども、大人になってくるとだんだん分かるようになってくる。次が、さわると反応するタッチパネルがあって、そのタッチパネルの中に、ご覧になって分かるように、いろんなアラビア数字が出てくるんですけれども、これだと1から9まであるんで、1、2、3、4、5、6、7、8、9っていう順番にさわると正解、それ以外の順番でさわると間違いっていうようなお勉強をしてます。今、チンパンジーがコンピュータのタッチパネルの上の数字をさわっているんですけれども、順番にさわると、1センチ角にリンゴが切ってあって、1回正解するとその1センチ角のリンゴがごほうびに出てくる。ピンポーンっていうのは正解っていうことですね。

菅原:ピンポンが正解だと、ピンポンの音は好きになりますよね。

平田:そうですね。今、ご覧いただいているのは別のところで出しているノートパソコンの画像なんですけれども、今、これとまったく同じ画面を別のモニター上でチンパンジーが見ていて、チンパンジーがさわったところの数字が消えています。これもタッチパネルに向かってお勉強中の、ロイっていう名前のチンパンジーです。

菅原:すごくショッキングな例ですよね、これ。人間がやるより速いでしょ?

平田:そうですね。