トップ > 平田聡 さん(2009年12月13日・12月27日放送)

第3回 平田聡さん6

(2009.12.13,12.27放送)

菅原:本当にいろいろおもしろい研究があって、実験の成功は仮説の検証ですから、その仮説がおもしろくて、人間もこういうふうにしたら、協力さえすればより幸せになるのにっていうのが入ってますよね。

平田:そうですね。

菅原:1人で毎日、食べるよりか、誰か誘い合って一緒に食べたら安くなるし、おいしくなるし、楽しくなるしとか、そういうことにもつながりますよね。

平田:チンパンジーでまさにそういう研究もあって、やっぱり1人の場面だと結構、好き嫌いが激しくて、嫌いな物はあんまり食べないんだけれども、みんなと一緒に食べると嫌いな物でも比較的ぱくぱく食べたりするっていうので、そういう食育というか共食というか、一緒に居ることで食べるっていう場面が楽しくなるっていうことはチンパンジーでもあるんで、チンパンジーを見ることが我々自身を振り返って考えることになると思いますね。

菅原:すごくヒントがたくさんあって、本当に随分、役に立つ研究がたくさんありますね。子どもたちにも類人猿とは何かとか、いろんなことを教えてらっしゃるんですか。

平田:そういう教育普及活動というか、研究者仲間だけじゃなくて一般の人、特に子どもたちにも分かってもらいたいと思って、そういう教育活動もうちの林原類人猿研究センターでやってます。

菅原:子どもたちがあそこに来るんですか。それとも、出かけて行かれるんですか。

平田:今は出かけて行くことの方が多いですね。

菅原:来たら、みんな、喜んじゃって大変ですよね。

平田:そうですね。でも、本当は来ていただいて、生で見るのとはやっぱりだいぶ違うと思うんで、そうしてもらう方がいいなとは思いますけど。

菅原:実物教育として、研究とはどうやってやるものかとか、フィールドワークっていうのはこんなふうにやるんだよっていうのが、子どものうちからそういうものを認識した人は将来、科学者になりたい人がすごく増えるという気がするんですよね。そういう意味ではいいですね。

平田:そういう意味でどんどん、チンパンジーとか他のサルの仲間の研究者、優秀な研究者が育ってくれるといいなとは思いますね。

菅原:あと、紙芝居とかでサルの絶滅のことを訴えたりとか、そういうこともされてるんですか。

平田:野生のチンパンジーは今、絶滅の危機に瀕していて、その絶滅の危機に瀕している理由は主に人間の活動が原因で、森林が伐採されて住みかがなくなったり、あるいは直接、撃ち殺して肉にして食べたり、ペットにされたりっていうような場合があるんで、そういう状況を子どもたちにもできるだけ分かりやすく説明したいっていうことで紙芝居とか人形劇にして、小学校とか保育園とかを回ってる活動もしてます。

菅原:絶滅に瀕しているチンパンジーっていうのは主にはアフリカですか。

平田:そうです。チンパンジーはアフリカに住んでいるんで、アフリカで絶滅の危機に瀕しているんですけど、他の大型類人猿でオランウータンは東南アジアに住んでるんですけれども、やっぱりオランウータンも絶滅の危機に瀕してますね。

菅原:それを守っていくにはいい方法ってあるんですか。

平田:なかなか即決する解決策っていうのは難しいっていうのが正直なとこじゃないかなと思いますね。大きな原因はやっぱりヒトの問題なんで、戦争が起こって難民が来て、難民が住むところがなくなって、チンパンジーの住んでる森を刈って畑にしたりっていうようなことがあったり、貧しいあまりにチンパンジーを撃って食べてっていうこともありますんで、簡単な解決策じゃ、やっぱりないと思いますね。

菅原:このままいったらあと何十年でチンパンジーが居なくなるということもあり得るんですか。

平田:100年、200年たつと絶滅している可能性が高いと思いますね。

菅原:それは何としても避けなくちゃいけない問題ですよね。

平田:そうですね。特に1番、人間に近い存在ですんで。

菅原:楽しい、たくさんのお話と科学的な研究と、本当に楽しかったです、あっという間で。

平田:ありがとうございます。

菅原:ありがとうございました。

エコ君:いや、きょうもたくさん勉強になったエコ。

菅原:そうですね。実はチンパンジーのこと、分かって、今までなかったっていうことがよく分かりましたよね。

エコ君:地球の未来を守るために僕たちは何をしたらいいエコ?

菅原:小さいことなんだけど、何か教え過ぎるのは良くないと。教えるんじゃなくて、自分が熱中してる姿を子ども、音楽だったら歌ってるとか、算数、解くのが好きな人はひたすら問題を解いてるというそばに子どもを置いておいて、その子どもがやりたいことをして、同じテーブルのところに居ると、おのずとそういう熱中型の子どもを育てることができる。大きく見たら、地球全体で特に先進国は教育費をかけ過ぎて、子どもにやれ、やれっていって、お金と強制力をやるから、結果的には本当の科学者とか本当の芸術家とか本当のピアニストとか、そういう人を作るのが下手になっちゃってるんですよね。そうすると、未来を考える、本当の頭の良さもなくなってるわけだから、それって問題ですよね。だから、もうちょっとチンパンジーをまねして、子どもたちに強制しないで、本当は勉強は楽しいことだよとか教えることが上手になると地球も生きやすい場所になるような、そんな気がしますね。

エコ君:勉強の楽しさを伝えることが1番大事なんだエコね。

菅原:そうですね。それではまたこの次、会いましょう。さようなら。

エコ君:ばいばいエコ。