トップ > 岸 征男さん(2010年9月12日・9月26日放送)

第12回 岸 征男さん4

(2010.9.12,9.26放送)

岸:これが最初の負圧式。胸の周りを真空にして、肋骨を広げて、吸う方を機械が助ける機械ですね。

菅原:ということは、中に、真空になるような特別の洋服を着てるような感じですか。

岸:ええ。ただ、これもいろんな子どもたちに使ってみて、100%、みんなが良くならなかったの。

それで、アメリカの研究所は、今度は逆に肋骨を縮めて、ぱっと開放する、そういう正圧式の呼吸の方がもっと脳障害の子にいいということを発見して、これも確かに先ほどのRM1000よりももうちょっと効果、高かったけど、ただ、コンプレッサが入ってて、夜、うるさいんですよ。

じゃあ、音のしない機械を作ろう。これがつい最近できた、RM200。これはモーター1個で、ゆっくり締めて速く戻すの。ゆっくり締めて、速く戻す、そういう呼吸パターンをやってくれる。

菅原:この、ゆっくり締めて速く戻すって、たくさんの酸素が入るから、これをやってたら酸素量、増えますね。

岸:増えると思いますね。だから、脳障害は呼吸を治せば、極論をすれば、脳障害も治るっていうぐらい、呼吸ってすごく大事なことなんですよ。

菅原:呼吸に根ざした運動器具とか、呼吸に根ざした医療器具っていうのはまだ、あるようであまりないでしょ?

岸:意外とないですね。

菅原:こういう、障害者用のものが世界じゅうに普及したら、すごい幸せになりますね。どのぐらいのお値段なんですか。

岸:大体30万、お値段は。直接、私が、お客さんといいますか、障害のある子どもの親さんに売ってます。だから、日本だけじゃなくて、東南アジア全体で今、販売してます。そして、アメリカでこれを今、作ろうという交渉を始めたとこですね。

エコ君:そして、リフティーを始めとする商品を開発していった岸さん。今回、特別にその開発品が眠っている倉庫を見せてくれたエコ。

エコ君:島根県出雲市、この場所で岸さんは開発をしているエコ。岸さん、早速、中を案内してエコ。

岸:じゃあ、中へちょっと入って行きましょう。

エコ君:この倉庫は商品の組み立てや開発品の保管をしている場所エコ。どんな物があるか、楽しみエコ。

岸:このちょっと黄色い、目立つ機械を説明しますと、リハビリが1人でできる、そういうことを目的とした、安全な歩行器です。

岸:こういう状態で歩きます。これ、どんなに体を揺さぶっても、まず転ぶことがないですね。そして、疲れたら、座ることもできる。クッションもついてます。ですから、病院の歩行訓練、そういったものにすごく役立つと思いますし、車いすしか乗ってなくて歩いたことがないという方もこれを使えば、安心して自分の足で歩くことができるという商品ですね。



岸:これは、一般の浴槽を用意すれば、そのまま使える入浴リフトなんです。ここに浴槽があったとしますね。浴槽にこれから入るんですけども、このいすが邪魔になるのでいったん上に上げます。浴槽のふちを越えるために1番上までこうして上げるんですけど、それで、こうやって足を持ち上げてこう入れます。すごく軽く転がるようなってますね。これで浴槽の上まで来ました。だんだん下がるに従って、いすが後ろへ倒れてきます。

岸:浴槽に入ったら、あお向けになる状態で肩までお湯につかってもらう、そういうために、だんだん下がるに従って背もたれが後ろへ倒れて、いろいろ空間が設けてあるんですよ。

岸:こういう感じで背中を洗うわけですね、ここ。そして、ここもお尻を洗ったり。この間ですね。ここからも手が入るようにして、体じゅうが洗えるようになってます。施設はやっぱり人手不足なんで、1人入れるのに2人がかりでやってる。それが1人で済むというのが大きなメリットがありますね。

エコ君:なるほど。岸さんの倉庫にはたくさんの夢と希望がつまっているんだエコね。

菅原:岸さんの、こういうふうな、すばらしい開発はこれから、高度先端医療の方ばかりに目を向けてる日本の医療と、介護の先進国はヨーロッパ、北欧だっていうふうに頭を固くして、全部、1,000万超えるものをどんどん輸入してきて、老人ホームへぼんぼん入れて、皮のベルトか何か、つって、ぼちゃんとお風呂へ入れてますよね。それに比べたら、もし、1メーターか2メーター、ぐーって移動して入れることができたら、今の方がいいですよね。

岸:一般浴槽ですから、特にただ、ぽんと浴槽、買ってきて置けば、もうすぐ使えますでしょう? それと、大体2人がかりで入浴させるんですが、これ、1人で十分なんですね。

菅原:あれ、もうちょっと小型化して、今、老老介護をしてて、お風呂に入れるのが1番、大変なんですよ。抱っこしてお風呂入れても、よいしょって抱ければいいけど、お年寄りがお年寄りで抱いて入れるっていうのは至難の業だから、お風呂に入るのが1週間に1回の1番の幸せだって思ってる、妻にお風呂に入れてあげらんないっていう、そういう悲しみを夫婦で持ってる人、いっぱい居ますよね。だから、そういうふうな意味では、普通の老老介護の中で、あれの変化型でぽちゃんというふうな、何か、これにちょっと変化型で、もう一声。

岸:そういうのをちょっと作ってみたいと思います。施設は、福祉予算っていうのが日本全体で非常にもう限られてきましたでしょう? ですから、福祉機器も今後はある程度、値段も安くして、そして、1番大事なのは、介護する人が不足してきますね。だから、1人で、先ほどいった自立できるようなもの、あるいは、介護する人が楽にできるようなもの。介護っていうのは結局、引力との闘いというんですよ。

菅原:その引力の結果が腰痛ですよね。

岸:そう。だから、みんな、腰痛でしょう? こういうものは全部、電気モーターでやるから、腰を痛めることもないし。

菅原:この機械はお幾らぐらいなんですか。

岸:このリフティーが今、70万円。

菅原:そんなに高くないんですね。

岸:障害者の場合はほぼ全額補助で、自分の負担はないんですね。それから、65歳以上の場合は介護保険が使えますね。すると、月々、自己負担が3,000円ぐらいで、これを使うことができるんですよ。

菅原:それは、月々3,000円ぐらいで使えるっていうのは、どこに申請したらいいんですか、これを使いたい人。

岸:これは市役所。そこの介護保険課というところへ申請して、これを使いたいですよということで9割は介護保険から払ってくれますね。