ーー砲丸の重心が真ん中にあることがいかに大事なのか、今回は実際に辻谷さんの砲丸を使っている選手に話を伺いました。協力していただいたのは富士通の山田壮太郎選手。
山田選手は自己記録18メートル64、日本の記録保持者。すなわち、今、日本で1番、砲丸を遠くに飛ばす選手です。
男性:アスリートから見た辻谷さんっていうのはどういう人ですか。
山田:僕らは砲丸、投げてるんで、いい砲丸、投げれると記録も出るので、そういう点ではやっぱり職人さんっていうのは必要で、すばらしい方だと思います。
いくつか触ってみて、自分に合う砲丸が絶対あるんで、やっぱりそれが辻谷さんの砲丸なんで、それを選んでますね。自分の手にしっくりくるか、こないかで、本当にちょっとの差なんですけど、それでやっぱり選んでますね。
砲丸って押し出すので、押し出すときに重心がずれてると変な力が加わってしまうので、うまいこと押せなくて、重心が真ん中にあると、気持ち、軽く感じるので、それでやっぱり飛びますね。
ーー飛距離を出すためのポイントはここ、砲丸を放つ瞬間です。山田選手いわく、砲丸は投げるのではなく、砲丸を押し出すそうです。体全体をひねり、バネのように力をためます。そして、ためた力を一気に砲丸へ伝える。
なので、砲丸の重心が真ん中にないと、手で砲丸を押し出すときに砲丸に力が100%伝わりません。
砲丸の重心が真ん中にあれば、手で砲丸を押し出すときに力が砲丸により伝わりやすいということなんです。
せっかくなので、山田選手に重心がずれている砲丸を投げていただきました。
山田:ちょっと重く感じますね。ずれてると、そのポイントがちょっとずれちゃうのでやっぱり投げにくいっていうのが1つの、重心ずれてるっていうのが嫌なとこですね。
ーーわずか2ミリの差でも選手にとっては大きな違いが感じられるようです。
山田:辻谷さん、これからもいい砲丸を作ってください。お願いします。
菅原:素直な投げ方ができる、そして、飛距離が飛ぶっていうことをおっしゃってましたけど、そういう選手の気持ちっていうのは作るときにとても大事なものですか。
辻谷:そうです。それ考えて、作るんです。
菅原:やっぱり、選手と一心同体ですよね。
辻谷:そういうことですね。
菅原:要するに、遠くへ伸びたい、伸びたいと思ってる選手の練習が素直に表現できるのが良い球なわけですよね。
辻谷:そうですね。
菅原:その選手の気持ちにこたえるっていうところが、一生懸命、頑張られてる原動力ですか。
辻谷:そうです。ですから、1番、最初、ソウルに出したとき、誰も使ってくれなかったのはショックでしたね。
菅原:そのとき、完璧なものをお出しになったんでしょう?
辻谷:そうです。