トップ > 辻谷 政久さん(2010年3月14日・3月28日放送)

第13回 辻谷 政久さん5

(2010.10.10,10.24放送)

菅原:オリンピック3大会で、連続、金、銀、銅という栄誉ある賞を取られると、もう世界じゅうで有名になりますよね。

辻谷:ええ、おかげさまで、もう。

菅原:やっぱり、そこまで行くと今度は逆に、その技術ちょうだいよっていう、海外からのオファーが来るでしょ?

辻谷:ええ、それが随分、来ました。

菅原:そうですか。どこから来ました?

辻谷:日本っていうのはどうしても後進国にハイレベルな技術を教え過ぎるんですよ。

菅原:どこから来ました?

辻谷:アメリカのロサンゼルス・タイムズの新聞記者が日本に特派員、たくさん来てますよね。その人が最初、話、持ってきたんです。ある、アメリカの有名な陸上競技球メーカーの話で、お宅に技術指導に来てくれないか。契約が成立するまでは相手の会社の名前、いわないです。

菅原:それは億を超えるお金あげますよ、みたいな感じなんですか。

辻谷:そういうことですね。

菅原:結局、お断りになったんですか。

辻谷:そういうことです。日本っていうのはどうしても、後進国に高度な技術、ハイレベルな技術を教え過ぎるんですよ。教えるのはいいんです。その国が潤って、またその見返りが日本に来て、日本の企業も潤うんでしたら、大いに技術指導っていうのは私は賛成なんですけど。

ところが、今、技術も仕事も行きっぱなし。日本の中小、零細企業がどれだけ今、苦労してるか。それを防がなきゃならないのが我々なんですよ。今、日本で生まれた技術、これはやはり日本できちんとプールしとかないと、しまいには技術大国日本だからなんて大きな顔できなくなります。

菅原:今、危機的な状態になりつつありますよね。

辻谷:そうです。

菅原:ところで、先ほどから伺ってたら、1,500個の砲丸投げに命を投げ出すほど大事にされてますけど、そうすると、採算が合わないんですよね。

辻谷:合わないです。

菅原:1個5,000円から1万円で出しちゃって、原材料費が約半分と思うと、えっと考えて、企業として成り立ちにくい部分、ありますよね。そうすると、そこの部分は他のビジネスとして、どんなジャンルで今、ビジネスバランスを取ってらっしゃるんですか。

辻谷:少子高齢化っていう言葉が今から40年ぐらい前に出ましたよね。子どもが減るんだったら、今やってる事業は下火になるなっていうのは当然、誰でもこれは分かるわけです。じゃ、今のうちにもう1つ会社、作っておかないと、この自分の会社はつぶれちゃうなと思ったのがもう今から40年昔です。

菅原:すごい早いですね。

辻谷:これ、やっぱりスポーツ関係の仕事してますから、スポーツ関係のサポートをしようと思って、トライアスロンだとかマラソン大会、海水浴の大会で使う機材をごっそり、自分の会社でできますから、レンタルし始めたのが今から30年前です、ちょうど。

菅原:それも早いですね。じゃ、そっちの方が全体の収入源からしたら、それはすごい大きいわけですね。

辻谷:そうです。向こうのがはるかに上です。

菅原:技術一徹の人っていうのは大抵、商売度外視で、もうかんなくていいんだ、みたいによくいうでしょ。そういっちゃうと、先細りで、最後は借金の山になっちゃり、そういう人、意外と多いですよね。そうじゃないとこがまたすばらしいですね。

辻谷:一家の長というのは機関車みたいなもんなんですよ。機関車がへたばったら、後ろのみんな、へたばっちゃうんです。だから、僕としては、いつでも走り続けなきゃいけないっていう自負があるんですよ。

菅原:方や、砲丸投げでブランディング、方や、リアルビジネスとしてのトライアスロンのリース業、それ以外にもまたあるわけですよね。

辻谷:そうです。