ーー産業として農業を行うためには、経営の意識をしっかりと持つことが必要という松本さん。はたして松本農園の経営努力とは。そこには農業の新たなかたちがありました。
ーー熊本県益城町、阿蘇のふもとに広がり、水はけがよく、農作物の栽培に適している火山灰土の田園地帯に松本農園があります。
午前7時30分、一般企業ではよく見かける、タイムカードを押して出勤する社員の姿がありました。
松本さんを含めた14人の社員が毎日集まって行うミーティングから一日の業務が始まります。
松本農園では、140個所に分散している延べ50ヘクタールの畑で、ニンジンなどの露地野菜を中心に生産をしています。
実は、松本農園で働いている社員の7割は農業未経験者でした。
松本:農業というと、経験がないと難しいとかいうふうに見られがちなんですけれども、いろいろな作業を標準化していくことによって、段取りを決めていくときにみんな同じように作業ができるようにする。そうすることによって、個人による作業者の作業格差っていうのがないようになっていきますんで、農業経験がない人たちでも人材として、われわれ、活用していきたいというふうに思ってますし、そうできなければいけないというふうに思っています。
ーーそんな松本農園には、建設費などが高額になるため、一般的な農家ではあまり所有していない選果場が完備されています。
ここでは、農協や専門の業者に依頼することが多い泥落とし、選果選別、袋詰め、箱詰めなど、商品化まで一貫した自社生産というかたちを取っていました。はたしてその狙いとは。
松本:一貫体制でやると無駄な部分というのは見えてきますんで、そういうことからコストダウンも当然図っていきますし、われわれはそういうやり方で事業を進めていってます。