トップ > 松本 武さん(2012年4月8日・4月22日放送)

第31回 松本 武さん6

(2012.4.8,4.22放送)

ーー国際規格の安全基準を取得している松本農園の野菜は、イギリスや香港などへの輸出も行っています。

松本:日本の農業は、例えばTPPの問題でも、経営規模が諸外国に比べると零細であることは確かなんですが、まだまだ捨てたもんじゃないっていう分野がいっぱいあるわけですよ。われわれがやった分野っていうのは、ITの取り組みだとか、ああいう分野っていうのは実は海外が一番まだまだ苦手とする分野なわけですよ。

われわれは、比較的コモディティな農産物で、これ以上そんなに付加価値を付けられないじゃないかっていうものでも、日本の農業生産の技術、情報管理の技術、これはかなり海外に打って出ると商品としての価値は高いというふうに思ってます。世界的な広がりっていう部分においては、実は、あのシステムを海外でも活用できないかっていうのを今考えてはいます。情報システムをサービスとして別の会社で販売をしていただこうと。そうなれば、いろんな農家さんにあれと似たような技術っていうのは使っていただけるんじゃないか。

菅原:やっぱり、今、世界中の人が有機農法産品を求めてる。ウクライナとか、そういうところのものも、やっぱり他の国へ行って売られたり食べられたりすると、ウクライナのどこで生産して、日本のこういうのになってますよっていうと、非常にみんな安心しますよね。

松本:なんか不安になったときにアクセスっていうのがキーワードになってますんで、われわれとしては海外でもああいう技術っていうのは活用できるっていう手ごたえは持ってますんで。

菅原:日本もいいんだけど、世界パテントを早く取って、どこの国でもああいうものは欲しいわけですから、あのシステムを誰か英語の使える人真ん中に入って、外で販売してくれる人を見付けるっていうことですね。

松本:今おっしゃっていただいたことも含めてなんですけど、われわれとしてはいろんな面においてしたたかでなきゃいけません。かつ、顧客の目線、顧客のニーズっていうのもしっかり捉えていかなきゃいけないっていう部分はあると思うんですね。

例えばアメリカのアップルなんかは、いろいろ紆余曲折ありましたけれども、お客が何を求めてるかとか、自分たちが何をすべきか、われわれは非常にそういったところに親近感を覚えるっていうか。

実はスティーブ・ジョブスが亡くなる半年前に、あるデバイスをわれわれみたいな現場で使えるデバイスになんとかできないかっていうことで、手紙を書こうと思ったんですよ。ただ、そのころにたまたまスティーブ・ジョブスがどうも体調が悪いというニュースが出て、ちょっと手紙は書けないなっていうような感じにはなったんですけれども。今のタイミングでも、われわれ、現場で使えるデバイスの開発っていうのを彼らにいろいろ投げかけていくっていうのは、もともと駄目で当たり前なんですから、ダメもとでも全然悔いは残らないんで、やっていきたいなと思ってますけどね。

菅原:それはいいことですね。直接どんどんアプローチして、会いにいってもいいんですよね。

松本:そうですね。

菅原:そういうふうなネバーギブアップで、ぜひその夢の部分も開けごまみたいな気持ちで、ぜひともお勧めします。

松本:分かりました。

菅原:きょうはどうもありがとうございました。

松本:ありがとうございました。

ーーこれまでの常識にとらわれない、松本さんの新しい発想が付加価値を生み出し、日本の農業が生まれ変わる環境を切り開く力になっていました。

菅原:誰もがインターネット上で履歴がちゃんと分かって、どれだけの農薬を使っていたのかも分かる。これから将来に向けて、世界的にこのシステムをもっともっと汎用性のある、例えば、豚はどのようにえさを食べ、どのような注射をし、どのような育ち方をしたのかっていうところまで最終的にはいけるような、そのような気配を私はすごく感じました。そうすると、よりおいしくて健康な方、また、履歴の分かるものをきちっと食べていく暮らしができるような気がします。最後に私は、彼がアップルとか大きな会社との取り組みが、将来うまく、完璧にいったら素晴らしいなという夢を聞かせていただきながら、わくわくしました。