トップ > 雨宮 清さん(2012年5月13日・5月27日放送)

第32回 雨宮 清さん2

(2012.5.13,5.27放送)

菅原:だから、いまだにカンボジアでも、農地を耕したいんだけど、ちょっとボールが入った、そういう学校のあぜ道をぽろぽろって行って、ドッカーンっつって手足失ったりとか、悲惨な話はカンボジアだけでもすごいですよね。

雨宮:そうですね。カンボジアだけでも300名弱。

菅原:年間?

雨宮:年間、死傷者が居るってことですね。

菅原:そのうち、子どもは?

雨宮:40パーセントぐらいですね。

菅原:悲惨ですね。

雨宮:そうですね。足をなくしますよね。生きてますよね。生きてるってことは、誰かが介護してかなきゃいけないってことでしてね。だから、介護する人が多くなればなるほど、その国の発展性がなくなってしまうと。だから、長期にわたって非常に恐ろしい武器でありますよね。

菅原:今、カンボジアだけじゃなくて、世界中に合計何億個みたいな形で、まだ地雷埋まってるんですか。

雨宮:そうですね。今、世界でだいたい120カ国、だいたい1億個といわれてますね。

菅原:全部除去するっつったら、500年、1,000年。

雨宮:1,000年といわれてますね。

菅原:実際に、カンボジアなどで地雷を除去してるVTRがあるんですけど、ぜひ、見せていただいていいですか。

雨宮:はい、どうぞ。

幼い子どもたちの人生を奪う地雷。この地雷の真実を雨宮さんが目の当たりにしたのは、1994年に商談でカンボジアを訪れたときのことでした。

当時のカンボジアは、20年におよぶ内戦が終結したばかり。そこで雨宮さんは、片足を失った老婆と出会い、彼女にいわれた一言から、雨宮さんの地雷との戦いが始まったのです。

雨宮:おばあさんがいったのは、あなた日本人でしょ、この国を助けてくださいと。地雷に遭う前に、早く取り除くことが、人を助けられるな、これはおれがやろうと。これこそ日本人の技術で、この国を何とか復興できないだろうかと。

それまで地雷のことを何も知らなかった雨宮さんは、地元の人々から地雷除去の方法を学びました。その結果、安全に地雷を取り除くには、自分が今扱っているショベルカーが一番だとひらめいたのです。

雨宮:やっぱりショベルカーってのは、非常にリーチが長い。要するに、爆発する先端とオペレーターの距離が非常に保てる。安全性が一番確保できるなということで、油圧ショベル。もう1つは、油圧ショベルってのは、人間の腕によく似てる。先っぽが、ハケのカッターみたいなので、ここがアームで、ここがブームと考える。そうすると、一番、機材としては、油圧ショベルが地雷除去機に合ってるというとこに注目したんですね。

地雷が埋まっているのは、そのほとんどがジャングル。そして、地雷処理で最も手が掛かるのが、密生する草木を刈り取り、地面をあらわにする作業。

そこで、雨宮さんは、木々を伐採しながら、同時に地雷を爆破するアタッチメントの付いた試作機を作りました。アームの先にあるのは、雨宮さんが独自に開発したロータリーカッター。

ロータリーカッターは、高速回転する複数の刃で、埋められている地雷を爆発させるもの。この方法なら、早く安全に地雷を取り除くことができる。しかし、開発は困難を極めました。

地雷の爆発には、大きな衝撃と、1,000度にもなる爆風が伴うのです。それらに耐えきれず、カッターの刃が折れてしまうことが多発しました。それから雨宮さんは、カッターの刃の金属の改良を重ね、爆風に耐え得る合金を4年がかりで開発。

1999年、地雷除去機1号機がついに完成しました。こうして、手作業の20倍という作業効率を実現したのです。

しかし、もう1つの困難が、雨宮さんの前に立ちはだかりました。