自分が開発した技術で平和に貢献したいと願う雨宮さんの思いは、今や、もの作りという枠組みを超え、現地での人材育成にまで及んでいます。
菅原:亡くなられた人とか、けがした人は居ないんですか。
雨宮:今まで、今86台、8カ国ですかね。日本の国を入れると9。8カ国で、今、誰も事故に遭ったこともないし……。
菅原:すごいですね。
雨宮:今でゼロですね。いまだに、十何年前に納めた機械が、今、動いてますからね。だから、一番大切なのは、現地の人が直せる機材でなければいけないってことなんです。
それには、ハードとソフトを一緒に持っていかなきゃいけないと思うんですね。だからわれわれは、アフリカの人たちを日本へ呼んだり、また、カンボジアの人を日本へ呼んで、教育して、また帰して、われわれも行ったり、その繰り返しは今でもやってますね。
菅原:カンボジアに雨宮通りができてもいいくらいですね。
雨宮:いや、それはないと思うけど。
菅原:でも、銅像がアンゴラに建ってもいいと思いますね。
雨宮:ただうれしいのは、こうやって復興されて、住民の人と行き会います、現地行きますよね。日本のお父さんっていわれるのは、やっぱりうれしいですよね。
菅原:田舎風の素朴な味もあるし、骨もあるし。
雨宮:田舎のおっさんですよ。
菅原:だから味がある。かめばかむほど味がある、自分のお父さんみたいな、そういう感じを皆さん持つでしょうね。
雨宮:それはいわれます。
菅原:結婚式呼びたいから来てくれとかいわれないですか。
雨宮:アフガニスタンでも呼ばれたし、呼ばれますよ、結婚式来てくれと。
菅原:来てくれってね。そういうことができる喜びってのは大きいですよね。
雨宮:だからそこに生活ができるってことが一番大事なんですよね。カンボジアとか、いろんな国行きますよね。そこに、緑豊かなとこが出たり、学校ができたり道路ができたり、それはもう、何ともいえないです。それがあるからやめられないんじゃないですかね。
菅原:今は、地雷除去を自分の仕事にしたいっていう若い方が、全国から会社に入社したいんですっていうことで、随分たくさん来られますよね。
雨宮:そうですね。こういう仕事をやりたいということで。だけどやっぱり一人前になるには5年、10年かかりますからね。 だけど、やらせるとやっぱり、日本人って優秀だなと思いますね、今の若者は。決して駄目じゃないと思いますよ。そういう優秀な若者がたくさん居ますね。
菅原:やっぱり、社長に対する尊敬の念っていうのがものすごくあるから、皆さん、一致団結して、社員が、自分の会社は世界オンリーワンの会社だっていう、そういうプライドはあるでしょ?
雨宮:それはみんな持ってますね。だから、商売ってうまくいくと思うんですよ。おれが居ても居なくても、みんなで会社をよくしてこうっていう気持ちを、団結力ってのは、小さい会社だけに、それはありますよね。
菅原:今、何人ぐらいですか。
雨宮:85名くらいですかね。
菅原:大きいですよね。今、日立建機の傘の下。
雨宮:グループです。
菅原:グループに入られたっていうことで、Win-Winゲームになってると思うんですが、自分の方の良い面、相手の方の良い面ってあると思うんですけど、ご自身の会社にとっては、何が一番良かったですか。
雨宮:やっぱり、自分だけでやろうとしたって、非常に無理があるわけですね。日立グループってのは、いろんな世界に支店とかワークショップ持ってますから、そういうところ活用させてくださいと、グループの中へ入って、自分だけではなくて、日本丸という形で、みんなが共有していこうと。日本の技術力をもっともっと外へ出して、日本人は物と金じゃねえよ、命も懸けてやってるんだよってことを、これからもっと見せなきゃ、私は世界についてけないと思いますね。
この後、雨宮さんが夢を大いに語ります。