多くの取り組みと様々な行われている日本。では、海外ではどんな取り組みが行われているのか。菅原は自国の伝統医療と西洋の医療が混在している中国に注目した。
高度成長期のまっただ中にある中国。そんな中国でがん発生率は増えているこの推移は2倍以上に膨れ上がり、死因のトップは日本と同様にがんである。日本の隣国中国ではどんな取り組みが行われているのか。菅原が注目する上海ガン学校、そこは一体どのような場所なのだろうか。
菅原が調査に訪れたのは上海がん学校。創立17年目、これまでに4500人以上の卒業生を輩出している。この学校は治療を終えた患者が集まり、泊まり込みで3週間にわたって気功の授業や、漢方の勉強などを集中的に行い、がんに対する知識と規則的な生活習慣を学ぶ施設。
また、授業やレクリエーションは、がん患者、卒業生問わず参加することが可能で、たくさんの生徒が訪れている。
詳しく話を聞くためにこのがん学校を創設した袁会長を訪れた。袁会長は、17年前の1993年にガン学校を立ち上げた人物。快く菅原との対談に応じてくれた。
袁会長:この学校は私を含むがん患者達で立ち上げました。拾は私自身もがんの患者です。がんが発見された時は悪性リンパ腫が股関節に転移していて余命1年と宣告されました。でも、私は余命1年と信じられず、病気と戦い、それから30年たっています。その時、病院の治療だけでなく、がん患者同士がお互いに交流し、精神的な助け合いができる場所が必要だと思い、5年かけてこの学校を設立しました。
菅原:事業を営むための費用はどうなさってるんですか?
袁会長:施設のビル自体は上海のタバコ会社から無償で提供されています。その他、水道や光熱費などの活動の財源は、中国各地の会社や団体からの寄付で成り立っています。そして、私を含めたスタッフ達は、経験からアドバイスができるように、すべて、元・がん患者のみなさんがボランティアで参加してくれています。
菅原:日本でもこういうのができたら理想的だと思うんですけど、それは、袁先生のような情熱的などんな困難でも乗り越えていこうという柱になるリーダーがいればできるのでしょうか。
袁会長:リーダーシップも必要かもしれませんが、こういう団体は一人の力ではできないものです。日本のがん患者もこの学校に訪れます。私が思うに、日本の患者さんはがんであることを隠そうとしているように見えます。そういう環境を整えることが重要なのではないでしょうか。
袁会長が力を尽くし作った上海ガン学校、ここ上海を拠点として中国全土で80校あり、これからもその数は増えるという。では、実際にどんな授業をし、学ぶ生徒達はどんなことを考えているのか。