袁会長から紹介されたのは、実際にこの学校に生徒として通うコウメイカさん。彼女は卵巣がんで去年、手術と化学療法を終えた。生活習慣を改善するためにこの学校に通うことを決めたのだという。コウさんに連れられ、学校の外にやってきた。
午前中は気功の授業。日本でも人気の気功はそもそもここ中国から伝わったもの。気功の基本とは心身のリラックスにあるという。心身が安定している状態で動作、呼吸法、イメージを用いて総合的に自己コントロールを行う。さまざまな事情でストレスを抱えているがん患者において、全身を使い、生命力の回復をはかる気功は重要な役割を果たすという。
続いて訪れたのは食堂。この日テーブルに並んだのは、野菜を中心としたメニュー。ここ上海ガン学校では、専門のシェフが作るバランスのとれた食事をとることができる。
同じテーブルを囲むことで会話が弾み、自然とその距離も近くなる。この学校の生徒たちは楽しみながら食事をし、時には悩みを打ち明けたり相談したりする。
そして昼寝を含む休み時間の後は午後の授業。行われたのか専門家を招いた食事と栄養の勉強。この授業では日常の食べ物の栄養学や漢方と食事の組み合わせの勉強等を行う。栄養学の博士として研究する菅原もその授業真剣に聴き入る。
そして次の授業はレクリエーション。その日によってやることは異なるがこの日は社交ダンス。菅原もレクチャーを受け、そのダンスに参加する。
知らぬ間に生徒たちでつなぐ輪ができた。その時々、いろいろなハプニングが起こるのも中国人のダンスの特徴。他の授業の先生やがんを克服した卒業生、そして、現在、この学校に通う生徒。がん患者として様々な事情を持った人間同士が一つになって、楽しみながら踊る。そこにはただただ笑顔があった。
そして次の日、上海間学校の生徒たちは朝から宿泊する部屋を掃除していた。安徽省から来た他の学校の生徒たちが上海万博を見学しにやってくるのだ。彼らは泊まる部屋の掃除をボランティアで行っている。菅原もそのお手伝いを買って出た。
学校には、この場所のような宿泊する施設が数多くある。がん学校に通う生徒たちもこの場所で三週間寝泊まりをする。
次に向かったは学校近くの駅。彼らはおよそ410キロ離れた安徽省からやってきた学校の生徒たち。その中には初めて上海に来る人もいて、感激している様子。鞄を持ち、おしゃべりしながらがん学校まで案内をする。
学校ではこののボランティア活動を盛んに行っている。過去には北京オリンピックやガン患者慰問活動など様々な場所でボランティアを行い、がん患者でも社会のためにできることを伝えたい。また社会貢献することで自分自身に自信をつけたいとその活動を広げてきた。