続いて菅原とコウさんが向かったのは上海市内にある龍華病院。コウさんは、ここ病院で一か月に一回、漢方薬の治療を待ち受けている。
中国のおよそ70%人が東洋医学と西洋薬を併用している。果たして、中国の病院が一体どのような場所なのか、菅原はその定期検診を受けるコウさんに同行した。
この方が、中国の伝統医療を専門とする王先生。コウさんは王先生におよそ一年間診療してもらっている。行っているのは脈診。身体をめぐる静脈の拍動に触れること言って体の状態を推測し、病気の診断や治療方針を決める中国の伝統的診断方法の一つ。
脈診から問診など様々な診断をし、王先生はコウさんの一か月分の漢方薬を出す。その処方せんを手に薬局へ。
これがコウさん一ヶ月に飲む漢方薬の量。その重さは、片手では持ち切れないほど重い。処方されたのは15種類の漢方薬で、医師によるとこれは中国でしか手に入らない薬だという。
コウさんに招かれ、菅原は彼女の自宅を訪れることになった。果たして中国のがん患者を抱える家族はどのようにしてがん患者と向き合っているのだろうか。病院から車で10分のところにコウさんの自宅がある。
学校の先生をしているリツヘイさんと高校一年生の娘ケイちゃん。そして、お母さんお父さんの5人家族。夕食に招かれ、そのテーブルにつく菅原丸いテーブルにを運んで中国の食卓は明るい。
その会話も自然と弾む。会話が弾む中、菅原はある質問を切り出た。
菅原:真面目な質問で申し訳ないんですけども、コウさんが突然、がんであることがわかって手術をしたり抗がん剤をしたり家の中でも本当に大変なことだと思うんですけども、どんなふうに家族でがんと向きあったのでしょうか。
リツヘイさん:がんという病名を告知された時は衝撃が走りました。確かにがんは怖い病気です。だからといって落ち込んでいても何の解決にもならない。だったら、がんと立ち向かうしかないと思ったんです。そして、毎日笑顔で楽しく過ごそうと彼女に伝えました。生活のうえではできないことはさせないし、全部私がやっています。彼女には見ていてくれるだけで充分だと伝えています。
コウさん:私がここまで健康になってるのもここにいる家族のおかげだと思います。それと私がここまで前向きになるまで指導してくれたがん学校の先生達のおかげです。
ーーコウさんの家庭では皆ひとつなってがんと向き合う姿勢があった。そして、その姿勢は笑顔が絶えないこの食卓に反映されていた。